リーデル11代目当主マキシミリアン氏によるテイスティングセミナーに潜入!


3月22日(火)にリーデルの11代目当主であるマキシミリアン・リーデル氏によるシャンパンテイスティングセミナーが開催されました。

リーデルでは、同じワインを形の違うグラスで飲み比べることをグラステイスティング・セミナーと呼んでいて、「異なるグラスによってワインの味わいがどう変わっていくのか?」「ワインのグラスの形状が人間の五感にどう変化を与えるのか?」という、グラスによる味の変化を体験できるセミナーです。(リーデルでは、ワインやお酒の生産者の方々と異なるグラスで飲み比べ、最適な形状を消去法で決定するプロセスをワークショップと呼んでいます。)

今回のテイスティングセミナーで使用したグラスは4種類です。

ヴェリタスシリーズから、「ニューワールド・ピノ・ノワール」、「シャンパーニュ・ワイン・グラス」、「クープ」、そして、ヴィノムシリーズから「シャンパーニュ(以下フルート)」です。

セミナーがスタートする前に、新商品のデキャンタ「アヤム」紹介がありました。ワインが持つ、本来の美味しさを引き出すためにデキャンタージュは必要ですが、このデキャンタージュはシャンパーニュ地方で開発されたそうです。

ここ数年、リーデルのデキャンタはマキシミリアン氏がデザインしています。今回紹介された「アヤム」はインドネシアの言葉で「チキン」という意味で、鶏の形をイメージして作ったとか。「来年は酉年だからちょうどよかった!」と軽いジョークも交えて話されていました。

いよいよセミナーがスタート。まずはスティルワイン(非発泡性ワイン)のテイスティングから始まりました。使用したワインは「ポール・ホブス」のピノ・ノワールです。使用するグラスは「クープ」を除く3種類。

まずは「ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール」です。

注がれたワインの香りをチェックすると、イチゴやチェリーが豊かに香ります。そして第1のアロマを感じた後に感じる第2のアロマ.....。一口テイスティングすると、果実味の後から甘みを感じました。余韻も長く繊細でエレガントな味わいでした。

このイメージを持ったまま、「ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス」でテイスティングすると、香りはイチゴやチェリーのようなフルーツの香りが穏やかになっていて、第1のアロマが少し薄まっています。味わいは荒っぽさを感じ、少し苦味や青臭さも感じるようになりました。

そして、「フルート」に関しては、全く香りを感じません。口に含んだ時の第一印象はそこまで悪くないんですが、その後は酸味が際立ってしまって口の中がドライに。

これまで何度も参加させていただいていますが、毎回驚きと新しい発見があります。それがリーデルのテイスティングセミナーですね。

続いて、シャンパンのテイスティングです。そして、テイスティングするシャンパンは「アンリオ」。創業1808年以来、一貫して家族の名前を冠してシャンパンを作り続けてきた名門のアンリオ家です。まさか、セミナーで飲めるとは思っていませんでした。

今回も使用するグラスは4種類です。

シャンパンと言えば重要なのは泡ですが、この4種類の中で最も泡立ちが良かったグラスは「フルート」でした。「フルート」の泡立ちが良い理由は、グラスの底にスクラッチ(傷)が入っていて、この傷のおかげで泡立ちが長く続くそうです。

今回使用するグラスの中で、あまり見かけない「クープ」は1900年代の初期に使われていたグラスです。なぜ「クープ」がシャンパンに使われていたかというと、昔のシャンパンは辛口ではなく甘口だったため、当時は砂糖が非常に貴重なものでした。

もちろん、クッキーやビスコッティなども砂糖が使われておらず、昔のお菓子は甘さのないものが主に食べられていました。そこで、甘みのあるシャンパンにクッキーやビスコッティを漬けて食べていたそうです。

まずは「フルート」をテイスティング。「フルート」は、「クープ」と比べてにグラスの口が狭く、量もたくさん注がれるため、香りを嗅ぐ空間がありません。テイスティングでは、泡が強すぎる印象です。酸も強く感じて、後味に酸っぱさを感じました。

「クープ」も香りを楽しむ事は出来ませんでした。口に含んだ瞬間、泡がガツンと入ってきて、酸を強く感じました。また、スムーズさもなく果実味も失われていました。

続いて、「ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス」です。香りは黄色い果実やバニラのニュアンス、そして、香りの全ての層が分かる感じがします。ファーストアタックで泡の存在をしっかりと感じ、辛口のシャンパンですが、辛すぎずにスムーズに入ってきます。余韻も長くエレガントな味わいでした。

最後に「ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール」をテイスティング。「フルート」や「クープ」と比較すると、香りは感じられましたが、「ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス」と比較すると、黄色い果実の香りが失われていました。味わいは少し酸っぱく感じてしまいます。

ここまで違うんですね。白のシャンパンですと、「ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス」が圧倒的にシャンパンを楽しめるグラスでした。


最後はロゼ・シャンパンのテイスティングです。テイスティングするロゼシャンパンは「モエ・エ・シャンドン ロゼ アンペリアル」です。「アンリオ」の次は、「モエ・エ・シャンドン」が登場!テイスティングセミナーで使うにはもったいない!!

ちなみに、このロゼ・シャンパンは1人1人に配られて、セミナー参加者全員に、マキシミリアン氏がシャンパンの開け方を指導。今回はメディア向けのセミナーだったので、シャンパンを開けた経験のない人が多く、皆さん苦戦されていました。

ロゼ・シャンパンのテイスティングで使用したグラスは「クープ」を除く3種類です。

まずは、「ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール」でテイスティングをします。香りを嗅ぐと、野いちごや胡椒など様々な香りを感じます。

生き生きとした果実味がハッキリと感じられます。もちろん酸味も感じますが、酸味を後押している甘みがエレガントです。ミネラル感に支えられたエレガント感を感じて、上品な味わいでした。

続いて、「ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス」でテイスティングです。香りはフルーティーさが控えめになり、シャンパーニュ特有の酵母の香りが強くなっています。白のシャンパンではこのグラスが適していましたが、ロゼだと泡が非常にアグレッシブに感じて、後味に苦味を感じます。

グラスと品種がマッチしてないと、ここまで変わるんですね。

フルートグラスでは、香りは感じられず、ワインらしさが失われていました。テイスティングをしても、フルティーさが失われて、イースト香ばかりが目立っていました。

「モエ・エ・シャンドン ロゼ アンペリアル」に最も適していたグラスは、「ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス」ではなく、「ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール」グラスでした。

これは、「モエ・エ・シャンドン ロゼ アンペリアル」はピノ・ノワールとピノ・ムニエ、そして少量のシャルドネがブレンドされて造られていますが、主にピノ・ノワールが主体のシャンパンなので「ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール」に適していたという事です。

スパークリングワインやシャンパンといえばフルート型のグラスのイメージでしたが、白にしてもロゼにしても、最適なグラスではありませんでした。

では、なぜ未だに使われているのでしょうか?

いくつか理由はあると思いますが、まずは、シャンパンが食前や食中に登場するようになり、テーブルの上に置いても邪魔にならないすっきりとした形が歓迎されたのだと考えられます。また、昔は、今ほど味わいのバリエーションがなかったので、グラスを変える必要はありませんでした。

そこから、シャンパン=フルートグラスと信じられるようになり、レストランのテーブルにフルートグラスを見かけるだけで、シャンパンを頼んでいることが分かり、シャンパンメーカーとしても宣伝になるという事でフルートグラスを推していたと考えられます。

しかし、今では様々な味わいが増えたため、フルートグラスが最適ではなくなってしまったのです。

ドン・ペリニヨンの醸造最高責任者、リシャール・ジェフロワ氏もドン・ペリニヨンのロゼシャンパンには「ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール」が最も適していると共感していたそうで、今、RIEDELでもドン・ペリニヨンに新たな提案をしているそうです。

今回のテイスティングセミナーを通して、グラスが変わると、シャンパンの香りと味わい、そして泡の質感まで変わるという事が分かりました。正直、香りや味わいに関してはこれまでに受けたスティルワインのテイスティングセミナーで感じていましたが、泡の質感まで変わるとは驚きました。

シャンパンは、スティルワインよりも特別感を感じるワインです。特別な時間を過ごす時に飲むシャンパンであれば、グラスにまでこだわって乾杯してみてはいかがでしょうか?

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