ワインの生産を国際化させたワイン史に残る2人の人物とは?

かつて「ヨーロッパでしか素晴らしいワインは生まれない」といわれていた時代がありました。しかし、今日のように世界中で素晴らしいワインが産み出されているのは、ある2人の人物のおかげなのです。

そこにはヨーロッパ以外のワインに目を向けられるようなきっかけとなった「パリスの審判」といわれる、常識をひっくり返すセンセーショナルな事件がありました。

それは、ある2人の人物が常識にとらわれず、行動したことから生まれたワイン界の大きな一歩でした。今回はどのようにその歴史的な一歩が生まれたのかをお伝えします。

試飲会を開催した「スティーブン・スパリュア」


出典:http://terroirdistribution.blogspot.jp/

ワインスクールの老舗「アカデミー・デュ・ヴァン」の創立者でもあり、パリのコンコルド広場近くでワインショップを経営していたイギリス人のスティーブン・スパリュア氏は、ナパを旅したときに、カリフォルニアワインのレベルが高いことを知りました。

カリフォルニアワインが「無個性な安ワイン」と言われていることに疑問を感じたスパリュア氏は、1976年5月4日パリのインターコンチネンタルホテルで試飲会を開きます。

試飲会の審査員はトップレベルのテイスター達。そして全員がフランス人でした。カリフォルニアからカベルネソーヴィニヨン6種と、シャルドネ6種が選ばれ、カリフォルニアワインと比較対照する目的で、ボルドーから赤ワイン4種とブルゴーニュから白ワイン4種をラインナップに加え、銘柄を明かさないブラインド・テイスティングで厳正な審査が行われました。

集計結果を読み上げたスパリュア氏は読み上げながら驚きましたが、そのままテイスティング結果を読み上げました。

白ワイン
1位 シャトー・モンテレーナ 1973年(米)
2位 ムルソー・シャルム・ルロー 1973年(仏)
3位 シャローン 1974年(米)
4位 スプリング・マウンテン 1973年(米)
5位 ボーヌ・クロ・デ・ムーシュ、ジョセフ・ドルーアン 1973年(仏)
6位 フリーマーク・アベイ 1972年(米)
7位 バタール・モンラッシェ、ラモネ・プルードン 1973年(仏)
8位 ピュリニー・モンラッシェ、ルフレーヴ 1972年(仏)
9位 ヴィーダー・クレスト 1972年(米)
10位 デイヴィッド・ブルース 1973年(米)

赤ワイン
1位 スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ 1973年(米)
2位 シャトー・ムートン・ロートシルト 1970年(仏)
3位 シャトー・モンローズ 1970年(仏)
4位 シャトー・オー・ブリオン 1971年(仏)
5位 リッジ・モンテ・ベロ 1971年(米)
6位 シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ 1971年(仏)
7位 ハイツ・マーサズ・ヴィンヤード 1970年(米)
8位 クロ・デュ・ヴァル 1972年(米)
9位 マヤカマス 1971年(米)
10位 フリーマーク・アベイ 1969年(米)

なんとカリフォルニアワインがフランスワインより上位に入っていたのです。「世界のワイン国はフランス」という神話が崩れた瞬間でした。

結果を記事にしたTIME紙の記者「ジョージ・M・テイバー」


出典:http://www.oregonlive.com/

招待された評論家達は「フランスワインが勝つのは分かりきっている」として誰も出席しないような試飲会でした。

ジョージ・M・テイバー記者も、結果は分かりきっていて話題にならないだろうと思いながらも、カリフォルニア出身の彼は昔からワインに関心があり、会場に向かうことにしました。

試飲中に審査員がフランスワインをカリフォルニアワインと勘違いしていたり、カリフォルニアワインをフランスワインと思い込んでいる様子をみて、これは面白くなりそうだと感じていました。すると結果はカリフォルニアワインの大勝利!大きな衝撃を受けた彼は「パリスの審判(Judgment of Paris) 」と題した記事で報じました。

小さな記事ではありましたが、そのインパクトは大きく、タイム紙発売の翌日、ニューヨークのあるワイン店では1位になったカリフォルニアワインの問い合わせの電話がなりやまないほどでした。

それ以降、多くの媒体が「パリスの審判」について取り上げ、カリフォルニアワインがフランスワインに勝利した事件が一気に広がったのです。こうしてフランス以外でも素晴らしいワインを作ることができるというメッセージが広がり、生産者に大きな勇気を与えるきっかけとなったのです。

まとめ


カリフォルニアワインがフランスワインに勝ったことで、「優れたワインはヨーロッパでしか生まれない」という時代が終わり、今に続く新世界ワインの時代の先駆けとなりました。

この2人の人物が、自分の感じたままに行動を起こしてくれなければ、今のように世界中でワインが作られていなかったのかも知れませんね。

ワインを飲み続けて15年。建築関係の仕事をしながら、ライターとしても活動中。ワイン片手に読んでいただけるようなお話をお届けします。犬好き、コーヒー好き、ハワイ好きもちろんワイン好き。未来の夢はハワイに住むことです。

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