フランス人の繊細さが感じられるソムリエナイフ「シャトーラギオール」と「デュルック」

ワインのコルクをテコの原理で抜く「ソムリエナイフ」という呼称は、アメリカでは主に「Waiter's knife(ウエイターズナイフ)」や「waiter's corkscrew(ウエイターズコルクスクリュー)」「Barman's knife(バーマンズナイフ)」と呼ばれています。

フランス語では「Tire-Bouchon(ティル・ブッション)」と呼びますが、ヨーロッパのメッセ(見本市)会場では、ほとんどが英語で商談する事もあり「ウエイターズナイフ」のほうが意味が通じやすいように感じます。海外で「Sommelier Knife(ソムリエナイフ)」と言っても通じないので注意が必要です。

今回はそんなソムリエナイフについて、ワインの本場、フランス産のソムリエナイフについてご紹介します。

シャトーラギオールの誕生

今から30年以上前のことですが、テコの原理を利用してコルクを抜く道具「ソムリエナイフ」といえば、当時は刃物で世界的に有名なドイツ・ゾーリンゲンの超有名メーカー「ヘンケルス社」のソムリエナイフか、ヘンケルスを参考に製造または複製(コピー)した日本製ソムリエナイフしかありませんでした。

どちらも無機質な金属の質感で、まさに「道具」と呼ぶにふさわしい物しか無く、材質にはボディ、スクリュー、ナイフ、フック全てが鉄材が使われていました。また、高級品になるとステンレス材が使われていました。

ところが、このドイツ製中心の「道具」的考え方の無骨なナイフとはまったく別のセンス(感覚)をもつソムリエナイフが1987年誕生し、世界中をアッと驚かせました。それがフランス国内最大の刃物生産地「ティエール」にあるSCIP(スキップ)社の「シャトーラギオール」です。

シャトーラギオールとは

ハンドル部分に水牛の角や、オリーブ、メープル、樫の木などの天然木、着色したウッドなどの天然素材を張り付けることによって、工芸品のような格調高いソムリエナイフを作りだしたのは、このシャトーラギオールが初めてでした。 天然素材を使用することにより、ひとつとして同じ色、水牛や木目の紋様がなく、全てが微妙に異なることから、世界に1つだけの「マイ・ソムリエナイフ」となり人気を博しました。

また、現在のハンドルの厚みは当時のソムリエナイフでは考えられず、あの厚みによってコルクを引き上げる時の中指、薬指、小指にかかる負担が軽くなり、非常に簡単にコルクを抜く事ができるようになりました。毎日数十本も開栓しなければならない方はもちろん、手を大事にする女性の方などには大きな恩恵をもたしたのです。

機械生産型の製品開発が進む中、このシャトーラギオールはあえて手作りにこだわり、中板に使うステンレススチールの型抜きのほかは、組み立てや研摩による成形など、ほとんどの工程を熟練職人の手作業で生産しています。だからこそ、使い込むほどに手触りもなめらかになり、自分の手に馴染んでいくソムリエナイフなのです。

デュルックの存在

出典:https://www.manufactum.de/

ここまで読まれた方は、ドイツ製=金属素材、フランス=金属+天然素材が中心のように思われてしまうかもしれませんが、フランス製の中にも「デュルック」という金属を使用した有名なソムリエナイフがあります。

このデュルック、フランスにワインを修行されてきた方に人気で、決して派手さはないけれど実力十分というすばらしいソムリエナイフです。もともと従業員数人という小さなファミリーメーカーにも関わらずフランス全土で売られていて、SCIP(スキップ)社がシャトーラギオールを創り出すまでは、フランスの高級ソムリエナイフ市場を独占していたのでは?と思われます。

ですがデュルック社の後継ぎがいなかったために、ノウハウや生産機器の全てをSCIP社にゆだね、現在では「デュルック」ブランドのままSCIP社で製造をしています。

ドイツ製ソムリエナイフとの違い

デュルックは、スクリューの裏側の丸バネをわざと少しボディ部分よりはみ出させて、指への負担を軽減しており、長い歴史で培われたアイデアがたくさん詰まっています。

また、パーツひとつひとつの品質が非常に優れており、各パーツの取り付けバランスも素晴らしく、スクリュー(螺旋針)が55ミリと長いためコルクの引き上がりかたが気持ち良い製品です。

金属素材という点ではドイツ製と似ていますが、見た目がドイツ製のソムリエナイフとは異なりスリムです。また、厳選されたパーツを絶妙な位置に取り付けるなど使いやすさを考慮しながらも、ポケットが膨らまないスマートな形状に仕上げるフランス人の繊細さが感じられるものが多いと思います。

 

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