知っているとワイン通?ブドウ木の害虫フィロキセラ

ワインを買う時、説明文に「フィロキセラの被害にあっていないブドウ」とか「昔フィロキセラで畑がやられてしまったが」などという言葉を聞いたことはありませんか?ワイン業界では非常に有名な虫、フィロキセラについて説明したいと思います。 

フィロキセラとは?

フィロキセラとは1㎜にもならない小さなアブラムシのことで、日本語での正式名称は葡萄根油虫(ブドウネアブラムシ)です。アブラムシは色々な野菜や植物につくことで有名。野菜に寄生して様々なウィルスを媒介したり、そのアブラムシからでる甘露で野菜や植物がべとべとになってしまうので厄介者とされています。

ブドウの木につくフィロキセラではなくても、アブラムシがついている植物を見たり触ったりしてそのべとべと具合をご存じの方も多いのではないでしょうか。ブドウの木につくフィロキセラにおいては、根や葉から樹液を吸ってその部分にコブを形成します。それがブドウの木の生育を阻害してしまうのでブドウにとっての天敵で栽培者にとっては悩みの種です。

 どんな被害が?

 

フィロキセラの被害が最初に確認されたのは1863年です。フィロキセラはもともとアメリカに生息していたアブラムシ。1863年に品種改良の研究用にアメリカのニューヨークから輸入されたブドウの苗木に付着していたため、その木から被害にあい、その後10年間でヨーロッパ中に繁殖していきました。そしてさらにはヨーロッパの畑の3分の2を壊滅させてしまいました。1882年にはフィロキセラは日本にも上陸し、世界中に深刻な被害を与えました。フランスのワイン産業は壊滅的な危機に陥り、フランス政府は懸賞金をかけてまで、フィロキセラ対策のアイデアを募っていたそうです。

フィロキセラ対策

ブドウにはいくつかの種(しゅ)があります。ブドウ目ブドウ科ブドウ属○○種の○○の部分が違うのですが、ヴィティス・ラブルスカ種、ヴィティス・リパリア種といった、北アメリカ系種のブドウには、フィロキセラに耐性があります。

一方、ワイン用として一般的に使用されているヨーロッパ系のヴィティス・ヴィニフェラ種にはフィロキセラの耐性がありませんでした。

フィロキセラの対策として考えられたものが「接木」です。

フィロキセラはブドウの根っこの部分にしか寄生しないので、台木になる部分を耐性のあるラブルスカなどの北アメリカ系種にして、接木をして上半分をヨーロッパ系種にするという方法です。ヨーロッパ種のほうが繊細な味わいを造れると言われているのですが、実をつける部分をヨーロッパ種、根っこの部分をフィロキセラ対策で北アメリカ系種にすることによって、どちらの良い部分も活用できたわけです。

 フィロキセラの被害を受けていない地域

世界のワイナリーのブドウ畑をほぼ壊滅に追い込んだフィロキセラですが、実は被害を全く受けていない産地がいくつかあるのです。

オーストラリアのバロッサ・ヴァレー、スペインの一部地域など、国を問わずいくつか残されています。陸続きでもフィロキセラの苦手な砂漠などが周りにある地域にはフィロキセラも侵入して来られません。そして、被害をまったく受けていない国はチリです。チリは南アメリカ大陸の国ですが、太平洋、アタカマ砂漠、それにアンデス山脈に囲まれているため、隔離されていて、フィロキセラの被害を受けていません。そのため、ほぼ全てのブドウが接木されていない自根のブドウなのです。自根のブドウで造られたワインは接木されていないからか、味わいが力強い、凝縮されているという意見もあります。自根のブドウを使ったワインにはFranc de Pied(フラン・ド・ピエ)と書かれていることもあります。

いかがでしたか?自根のワインが全ておいしいわけでもどちらが良いというわけでもありませんが、自根のものを見つけたら一度飲み比べてみてください。特にヨーロッパで自根のブドウを使ったワインがあると「フィロキセラ被害にあわずに生き残った地域なんだ!」となんとなく感動したりもします。色々感じながらワインを飲んでみるとまた少し楽しくなりますね。

ソムリエ。レストラン、ワインショップ、ワイン輸入会社の勤務を経て、現在はオンラインのワインサロンを主宰しながら、様々な場所でワイン会を開催。サロンをして開業できるように準備中。ワインの楽しさを沢山の方に伝えていきたいです。

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