ヴィオニエは、フランスのローヌ地方を本家本元とする品種です。中でもコンドリューという名声の高い白ワインに使われる品種として知られ、華やかで凛とした白い花のような香りは、女性からも支持されています。
人気が高まったのは1980年代以降、爆発的に強いアロマが飲み手を虜にし、なおかつ「ヴィオニエ」という品種の名前が覚えやすく、音にして美しいという理由から圧倒的な支持を得るようになりました。
今回は、そんなヴィオニエから造られたワイン、「ヤルンバ ワイ シリーズ ヴィオニエ」をご紹介します。
歴史あるバロッサのワイナリー
「ヤルンバ ワイ シリーズ ヴィオニエ」を造るヤルンバ・ワイナリーは南オーストラリア州にあり、中でもアデレードから80㎞北東へ行った「バロッサ」に位置します。
南オーストラリア州は豪州最大のワイン産地で、バロッサは特に歴史が古く、ヨーロッパからの移民たちによって開拓されました。乾いた気候などの諸条件が重なり、フィロキセラ禍に遭わず、いまだに自根のままのブドウ樹を見つけることができます。その古木は世界で最古のレベルとも言われています。
ヤルンバ・ワイナリーのスタートは1849年、イギリスからの移民、サミュエル・スミスによって立ち上げられ、現在は5代目ロバート・ヒル=スミス氏が当主としてワイナリーを率いています。
また、ヤルンバ・ワイナリーで20年以上ワイン造りに携わるチーフワインメーカー、ルイーザ・ローズ女史は世界的に有名なヴィオニエ生産者と評されており、女性を魅了する味わいの秘訣はルイーザ・ローズ女史だからこそ引き出せるのかもしれません。
冒険心湧き立てるワイン
タ イ プ:白ワイン、辛口
生 産 国:オーストラリア、南オーストラリア州
品 種:ヴィオニエ100%
飲み頃温度:8度前後
相性料理:白身魚のカレーソース、タコス、ガパオライス、生春巻き、棒々鶏
外観は輝きのある濃いレモンイエロー。グラスに鼻を近づけると華やかな香りがふわりと解き放たれます。アプリコットなどの核果や、スイカズラや菩提樹のような白い花を束ねた香りがエキゾチックな印象的です。果実味が豊かながら、程よい酸を見つけることができます。
アルコール度数は高めで、コクのあるしっかりとした飲みごたえです。いかにも南の品種らしい味わいが特長でしょう。シャルドネと似た果実味を持ち合わせつつも、よりアロマティックという良い性質を持ち合わせています。
ヴィオニエの先駆者であり続ける
ヤルンバ・ワイナリーの功績は、1980年、豪州でいち早くヴィオニエに取り組んだことです。昔からシラーやグルナッシュなど、ローヌ系のブドウ品種は栽培されてきましたが、ヴィオニエに着目する生産者がいなかったのです。 折しも1980年代は世界中の飲み手がシャルドネの代替品種を模索している時代でした。そんな中、ヴィオニエにフォーカスし、その魅力をいち早く引き出したヤルンバは、豪州における先駆者的存在なのです。
ヤルンバのこだわり
ヤルンバ・ワイナリーがバロッサの中で、一目置かれる理由は2つあります。ひとつは、苗木研究所(ナーサリー)を自社で持っていることです。一般的には、苗木は専門の業者から購入されます。しかし品質の高いワインは、良いブドウ樹から造られるという信念から、自前で管理しているのです。そこでは土地と品種の相性の研究も続けられてきました。 もうひとつは、樽工房を自社で所有していることです。オーダーメイドの樽を自由に手に入れることが出来るのは、醸造家にとってまさに理想のワイン造りの環境です。 しかし、樽工房を持つことは、経済的にも技術者確保の面からも決して簡単なことではなく、赤ワインの銘醸地ボルドーでも樽工房を自社所有しているのは、ラフィット、マルゴー、オーブリオンと名立たるワイナリーだけです。もちろん、現在、オーストラリアで樽工房を持っているのはヤルンバだけなのです。
まとめ
今回ご紹介した「ヤルンバ ワイ シリーズ ヴィオニエ」は、「どんなワインを合わせよう?」と一見戸惑ってしまうような食事にもマッチする、キャパシティーの広い一本です。 普段はなかなか合わせないピリ辛料理やスパイシーなお食事、例えば、タコスや生春巻きといった多国籍料理に合いそうです。食材にフォーカスするのであれば、ワインの重さを生かし、魚だけでなく豚肉、鶏肉などの白身肉なども合わせられるでしょう。 日頃の生活の中で、冒険心を持って料理とワインの組み合わせにチャレンジできるので、ぜひ試してみて下さい。