マリアージュの科学?味覚から考えるワインと料理の合わせ方とは?

赤ワインにはお肉、白ワインには魚が合うと言われていますが、実際にはタンニンの少ない赤ワインに魚を合わせることもありますし、お肉に重い白ワインを合わせることもあります。

その土地の郷土料理にはその土地のワインを、という合わせ方についてもワインの世界では常識ですが、普通はなかなか知る機会がありません。また、レストランを訪れたらソムリエやカメリエーレやシェフに聞くことができても、自宅でワインと食材を合わせたいときは自分でどうにかするしかありません。

今回はこの「自分でどうにかする方法」、即ち、自分で美味しい食べ合わせを見つける簡単な方法をご紹介したいと思います。

ポイントは「味の強さが同じ」であり「味の種類が異なる」こと

味博士と呼ばれ、味覚を科学的に解明するAISSY株式会社代表の鈴木隆一さんが日本栄養士会雑誌「JOUNAL OF THE JAPAN DIETETIC ASSOSIATION Vol.59」の特集の中で、ワインと食事を合わせる場合は「味の強さが同程度」であり「味の種類が異なること」がポイントだと言及しています。

人間の味覚は甘味、塩味、旨味、酸味、苦味の5基礎味で構成されており、ほとんどの食材や食事の味はこの5つで説明できるとされています。

辛味については痛覚であるため、例えばタバスコの場合は旨味+塩味+痛覚であったりキムチの場合は旨味+酸味+痛覚というように説明することができます。

しかし、ワインにおける「辛口」の場合は辛味ではなく、甘味よりも酸味や苦味が強いものである場合が多いようです。

味覚を補完する

赤ワインには肉、白ワインには魚が合うという一般論にも、科学的に見てみると鈴木氏が言及した法則が当てはまっているそうで、このルールに則るとワインと食事も簡単に合わせることができそうです。

例えば甘味、旨味、塩味全てが5段階中3程度に感じるワインがあるとすれば、残りの苦味や酸味が同じく3程度の食事に合わせると非常に美味しく感じるそうです。

これが例えば酸味のみ5段階中5と際立っていたりすると、そればかりが主張してワインの旨味や甘味がかき消されてしまうのだとか。

また、甘味、旨味、塩味については人間が生まれつき好ましいと感じる味に対して、苦味と酸味については学習効果で好きになっていく味だそうです。

それゆえに、酸味や苦味が強い食事には、旨味や甘味や塩味も同程度に強いものを合わせると、その味のコントラストでより美味しく感じるそうです。

まとめ

自宅でワインと食事を合わせたい場合は、まず先にワインを飲んでその味を自分なりに5基礎味に分類し、強さをメモに書き出します。例えば「甘味が1番強い」、「酸味がほどほどに強い」、「苦味が強い」というようにメモをします。

そして、その味に被らない味覚が、同程度の強さを持つ食材や食事を合わせると良いでしょう。しかし、ワインを開けてから食事を準備したり、食材を買いにいくのは間違っていますよね。

ちなみに、スーパーやコンビニで売っている赤ワインに合わせたい場合は、甘味と苦味が中程度のものが多いので、旨味と塩味と酸味のいずれかが中程度の食事を合わせると良いでしょう。

同じく白ワインの場合も、酸味と苦味が中程度のものが多いため塩味、甘味、旨味が同じく中程度のものを合わせると良いと思います。

もしくは過去に自分が飲んだことのあるワインであれば、大よその味は見当がつくと思うので、そこから5基礎味に当てはめて、合いそうな食事を用意すると新しい発見が生まれるかもしれません。

<参考> 『JOUNAL OF THE JAPAN DIETETIC ASSOSIATION Vol.59 2016』P5~P14 鈴木隆一「味覚とおいしさの化学」 Webサイト『味博士の研究所』 http://aissy.co.jp/ajihakase/blog/archives/2738

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お酒と書籍をこよなく愛すワイン好きなライターです。ワインの魅力にとりつかれ、知識を深め、ワインエキスパートの資格を取得。「ワイン=敷居が高い」という既成概念を壊していきつつ、一緒にワインの楽しさを探っていきましょう。

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