「イタリアチーズの王様」と称されるパルミジャーノ・レッジャーノ。そのまま食べて美味しいのはもちろん、ピッツアやパスタ、スープ等の料理にも大活躍するチーズとして世界中で人気です。
そのパルミジャーノ・レッジャーノに形も味もそっくりな「グラナ・パダーノ」というチーズが、同じイタリアで造られているのをご存知ですか? 日本ではパルミジャーノ・レッジャーノの影に隠れてあまり知られていないようですが、実は大変お買い得なチーズなのでご紹介したいと思います。
GRANA PADANO(グラナ・パダーノ)
原料乳:牛乳
タイプ:ハード(超硬質)タイプ
生産地:イタリア北部のピエモンテ州やロンバルディア州 など
「グラナ・パダーノ」は、イタリアD.O.P.(※)チーズの中で最も生産量の多いチーズです。グラナは「粒」や「粒子」という意味で、パダーノは生産地であるポー河流域のパダーノ平野の名前です。チーズ側面に刻印されるチーズ名とマークを除けば、外観はパルミジャーノ・レッジアーノにそっくりです。
製法もパルミジャーノ・レッジアーノとほぼ同じです。部分脱脂した牛乳から造られるので、チーズ固形分量中の脂肪分が約32%と、ハードタイプのチーズにしては低めです。イタリアではどこの家庭にも必ずストックされていると言われており、「キッチンのハズバンド」という異名があります。
パルミジャーノ・レッジャーノとの違い
「パルミジャーノ・レッジアーノ」と「グラナ・パダーノ」では何が違うのでしょうか? まず、生産地域に違いがあります。グラナ・パダーノはパルミジャーノ・レッジアーノよりも広い地域で作られています。
また、グラナ・パダーノは発酵調整材(卵白リゾチーム)の使用が認められています。そして、最もわかりやすい違いは熟成期間です。パルミジャーノ・レッジアーノの熟成期間が最低12ヶ月間であるのに対して、グラナ・パダーノは最低9ヶ月間の熟成で出荷されます。
よって、一般的には熟成期間の短いグラナ・パダーノの方が塩味・旨味ともにパルミジャーノ・レッジアーノよりや優しく控えめであると言えます。これらの理由から、通常グラナ・パダーノはパルミジャーノ・レッジアーノより約2〜3割安い価格で販売されているのです。
まとめ
グラナ・パダーノはパルミジャーノ・レッジアーノの代替え品と言われた時期もありましたが、1996年にはD.O.P.(※)を取得していますし、厳しい品質管理のもとに造られているチーズです。
また、同じグラナ・パダーノでも9ヶ月以上熟成させたしっかりとした旨みのあるものや、添加物を使用せずに造られたものも存在します。 そういう訳で、私はグラナ・パダーノを見かけたら必ず購入し、冷蔵庫にストックするようにしています。パルミジャーノ・レッジアーノより安価なので、いつも気兼ねなく料理の仕上げにたっぷりと使用しています。
※EUの品質認証システムの一つで、製法や産地を保護するものの中で認証条件が最も厳しい「原産地名称保護」の略。