「美味しいワイン」に「おいしいパン」があれば、幸せな時間を過ごすことができます。幸せを運ぶワインとパンの関係は、深い歴史で結ばれています。
歴史をひもとくとその関係は、はるか昔紀元前からのものからなんです。今回は「パンとワインの関係」についてご紹介します。
パンとワインの歴史
約1万年前、メソポタミア流域で小麦の栽培が始まりました。できた粉は最初、水で煮て粥状にして食べられていました。その後、小麦粉粥を熱した石の上で焼くと、美味しく保存性が高まることを知り、無発酵の薄焼きパンがつくられます。これがパンの起源となります。
その後、無発酵で作られた平焼きパンは、ふっくらと膨らんだ発酵パンへと変化します。小麦と水でこねた生地を放置していたら、空気中の酵母が付着し発酵パンが出来上がったのです。
いっぽうワインは有史以前から存在し、神の飲み物といわれていました。諸説ありますが、一粒のブドウが地に落ち、野生酵母により自然発酵しワインが出来上がったのが始まりとされています。
紀元前3000年頃、古代エジプトの壁画にパンの作り方やワインの造り方が記されていることから、古代エジプトではワインとパンが人々の糧としてなくてはならないものだったことがわかります。
酵母が育むパンとワイン
パン作りにもワイン造りにも酵母がかかせません。
発酵パンの製造はエジプトからギリシャに伝わり、ギリシャではパン職人も現れ、多種多様なパンが焼かれるようになります。その理由の一つとして、ギリシャではワイン造りが盛んだったことが関係しています。
ブドウを発酵させた酵母で焼いたパンはワインのような深い味わいを醸し出しました。パンとワインつくりには酵母の力が大きく影響しています。
その後、パンはギリシャからローマへと伝わり、ヨーロッパ各地に伝わります。
最後の晩餐の意味するパンとワイン
キリスト教の聖体拝領の儀式(聖餐式)では種無しパン、赤ワインが供されます。最後の晩餐でイエスの体を意味するパンと血を意味するワインを弟子たちに与え、多くの人のために流す契約の血であると宣言しました。
そのようなことから、宗教的にもパンとワインの関係は重要視されています。パンは、様々な時代や各国の情勢・文化などに左右されながら、現在のように世界中で食べられるようになったのです。
おわりに
ワインとともに、世界中で愛されているパン。昔からワインとパンの関係深く、何千年もの時を超え、今も愛され続けるマリアージュです。