ナチュラルチーズと言えば、フランス産、イタリア産、そして最近はスペイン産も人気です。これらの国は、ワイン造り同様、チーズ造りも古い歴史があり、造られているチーズの種類も大変豊富です。
では、同じヨーロッパでもイギリスはどうでしょうか? イギリスのチーズと言えばチェダーチーズくらいしか知らないという方も多いかもしれませんが、実はイギリスでも素晴らしいナチュラルチーズが造られています。
今回は、イギリスとそのお隣のアイルランドの代表的なナチュラルチーズをご紹介したいと思います。
イギリスのチーズの歴史
イギリスは北海道より北に位置しますが、メキシコ湾からやってくる暖流と偏西風により、夏は涼しく冬は暖かい海洋性気候の国です。国土の大部分は農地と牧草地で、昔はチーズ造りが大変盛んだったと言われています。しかし、鉄道が敷かれ、近代化が進むと同時にチーズを造る農家は激減しました。
近年は伝統あるチーズ造りが再び見直され、生産者も増えてきましたが、ヨーロッパの主要チーズ生産国に比べて、EUの品質認証(原産地名称保護)を取得しているイギリス産チーズはまだまだ少ないと言えます。
代表的なイギリスのナチュラルチーズ
West Country Farmhouse Cheddar Cheese (ウェスト・カントリー・ファームハウス・チェダー・チーズ)
原料乳は牛乳。世界中で造られているチェダーはそのほとんどが工場生産であるのに対して、こちらはイギリス南西部のサマーセット州など定められた4州で、伝統的な製法で造られたものに限定されます。日本で販売されているチェダーはオーストラリアやニュージーランド産、もしくはイギリスで工場生産されたものがほとんどで、本家本元のこのチェダーはあまり見かけません。
Blue Stilton Cheese (ブルー・スティルトン・チーズ) エリザベス女王の大好物とも言われているブルーチーズ。原料乳は牛乳で、フランスのロックフォール、イタリアのゴルゴンゾーラと共に世界三大ブルーチーズの一つです。ピリッとした青カビ特有の刺激と濃厚でねっとりとした舌触りが特徴です。
アイルランドのチーズ
長くイギリスの植民地であったアイルランドのチーズは、チェダーの製法で造られているものが中心です。 Porter (ポーター) 原料乳は牛乳。チェダーの製法のチーズにアイルランドの黒ビール「ポーター」を混ぜ込んで造られています。黒ビールがチーズの隙間に浸透したマーブル模様の個性的な見た目ですが、味はほのかに苦みを感じる程度で大変食べやすいチーズです。
おわりに
いかがでしたか? 今回ご紹介したイギリスやアイルランドのチーズは、ワインと合わせても美味しいですが、同じ地方(国)で造られているウイスキーや黒ビールとも大変相性が良いのでおすすめです。是非一度お試し下さい。