ワインのお供にかかせないチーズは、ミルクの栄養成分である良質なタンパク質と脂肪を凝縮した優れた栄養食品です。
脂肪分が多く高カロリーな点は気になるところですが、ビタミン類、特にカルシウムを手軽に摂取できるので、育ち盛りの子供から骨密度が気になる高齢者まで、普段の食生活に是非とも取り入れたい食品です。
そこで今回は、チーズの栄養を効果的に摂取しつつ、より美味しく食べる方法をご紹介したいと思います。
チーズの主な栄養成分
チーズの主な栄養成分はタンパク質と脂肪です。ミルクの中のタンパク質、脂肪は熟成の過程でアミノ酸などに分解されるので、体内で非常に消化吸収されやすくなっています。
また、他の食品から取りにくいビタミンB2や、カルシウムもチーズには豊富に含まれています。このビタミンB2は肌の健康には欠かせないものです。肌の新陳代謝を高めてくれる働きがあることで、荒れてしまった肌も早く綺麗に回復させる助けともなります。
昨今、現代人に特に不足しがちなカルシウムも、チェダーやゴーダを2切れ(約30g、カルシウム量にして約200mg)を普段の食事に追加して食べれば、一日の摂取目標値をほぼ達成できます。
効果的な食べ方
野菜や果物と一緒に
栄養価の高いチーズですが、残念ながら食物繊維とビタミンCは含まれていないので、果物や野菜と一緒に食べるとバランスのよい食事になります。ビタミンCが豊富なジャガイモと一緒に料理に使ったり、食物繊維が豊富なドライフルーツやナッツと合わせて食べると良いでしょう。
ビタミンDを豊富に含む食品と一緒に
ビタミンDは脂溶性のビタミンで、カルシウムの吸収を高め骨への沈着を助ける効果があるので、チーズと一緒に食べると、カルシウムをより効果的に摂取することができます。
ビタミンDを多く含む身近な食材は、しらす、いわし、サーモン、そしてキクラゲなどのキノコ類。しらすは好みのチーズとオリーブオイルでピッツアに、スモークサーモンはクリームチーズとサンドイッチにすれば白ワインともよく合います。
まとめ
以上のことから、ヨーロッパで生まれた家庭的なチーズ料理、例えばフランスやスイスでは熱々のチーズにパンやジャガイモをつけて食べる「フォンデュ」や「ラクレット」、イタリアならハードタイプのチーズをたっぷりとすりおろして食べる野菜スープ「ミネストローネ」等は、美味しいだけでなく栄養学的にも理にかなった料理であることがわかります。
日本では、特にナチュラルチーズはまだまだ嗜好性の高い食品です。けれども、これからはワインのお供としてだけでなく、健康のためにも、もっと気軽に日々の食卓に取り入れたいものです。
参考文献:『チーズの教本2016』 著者/NPO法人チーズプロフェッショナル協会