パンと共に醸される人生!自家製酵母のパン職人たかやさんにお話しを伺いました。

ワインを楽しむ時、料理やチーズと共に欠かせないのが「パン」です。

酸味のあるライ麦パン、ドライフルーツ入りのパンは、ワインとのマリアージュを考えると楽しくなります。特に果物や野菜から酵母を作り、ゆっくり発酵させる自家製酵母パンとワインは、どちらも発酵食品なのでお互いを引きたて合い、絶妙にマッチします。

今回は、そんな自家製酵母パンを作る「ぱんノート」のたかやちかこさんに色々とお話を伺ってきました。

店舗を持たないパン屋さん

「ぱんノート」は東京都稲城市に工房があり、そこで製造したパンを通信販売のほか週末のイベントに出店して販売しています。素材の味を最大限に引き出すノンオイル、天然酵母で仕込む「山食」や丸くて大きな田舎パン「カンパーニュ」、ドライフルーツ入りのパンやお惣菜系のパンなど数多くのパンを揃えています。

また、全粒粉のスコーンやクッキー等、焼き菓子も充実しています。

たかやさんは、物心ついた頃から好きだったお菓子作りにはじまり、家庭を持ってからはパン作りに熱中。「自分で創り出す仕事をしたい」と温めていた思い、それが焼き菓子とパンだったのです。 パン屋でのアルバイトからスタート。同僚から聞いた「自家製酵母」のパンに惹かれ、独学で研究し、初めて自分で起こした「グリーンレーズン酵母」で作ったパンは大成功!すっかり酵母の魅力にとりつかれてしまいます。

しかし、上手くできる時もあれば、失敗することも。そこで、なぜ失敗するのか?最適な材料は何か?と、日々試行錯誤を重ね、ついにパン屋を開くまでになりました。

たかやさんは、パン屋を続けていく中で一番大切なお客様からの声と言います。多くのお問い合わせに応えていくうちに、卵・乳製品・白砂糖は使わず、基本の生地にはオイルも入れなくなりました。不思議なことに、毎日食べてもらうパンを追及したら、一番素材の味を引き出す配合になっていたそうです。

これからの目標を伺うと「焼きたてを食べてもらいたいから、工房だけではなく販売やイートイン、お教室もできる店舗を持ちたい。イベント等の出店先をもっと広げ、沢山の方に自家製酵母パンの美味しさを知ってほしい。」とのことでした。

選びぬかれた素材と長時間発酵

美味しい果物や野菜、ヨーグルト等から自然の力をいただいて紡ぎ出される自家製酵母パンは、長い時間をかけて発酵することで独自の味わいが醸し出されます。 手間、愛情、時間をたっぷりかけて、原材料を作ってくださる農家の方々の想いも一緒にたった一つのパンにぎゅっと詰め込んでおとどけする。パン焼き職人が母のように生地を育て、焼き上げる自家製酵母パンは、まさにいま注目のスローフードなのです。

「ぱんノート」のパンや焼き菓子は北海道産の強力粉や全粒粉、沖縄の塩、奄美の砂糖など、こだわりの材料で作られています。酵母は稲城のぶどうから起こしたぶどう酵母と、長野県のりんごから起こしたりんご酵母、酵母菌、麹菌、乳酸菌で安定した発酵力のホシノ天然酵母を使用します。

涼しい環境で15時間かけて発酵させるので、シンプルな材料から旨みたっぷりで噛み応えのある、生地自体が美味しいパンができるのです。

「山食」はどっしりしていながら中身はふんわりと柔らかく、どんな食材とも合いそう。サンドイッチにいいですね。「カンパーニュ」は適度に酸味があり、熟成したチーズや樽熟成のワインに合わせたいパンでした。

まとめ

笑顔でパンのことを語ってくれたたかやさん。お客さんとの久しぶりの再会に手を取り合って喜んだり、材料についての質問を受けたり、楽しそうに接客されていました。 パンを通して自分の人生も、パンを食べてくれる人達の人生も豊かになりますように。そんな思いでパンを作り、届けてくれる素敵なパン職人でした。思い入れのあるパンをしっかり噛みしめて、大切にいただきたいです。

ぱんノート

 206-0802 東京都稲城市東長沼1724-4 パストラルハイツ106号室

 http://pan-sweets.com/

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料理研究家/フードコーディネーター/チーズプロフェッショナル/ワインエキスパート
本郷台駅徒歩3分の自宅にて「パン&料理教室 サロンドファリーヌ」を主催。自家製酵母パン、ドイツパンについても研究を深めている。パン屋さんを巡ることがライフワーク。

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