みなさん、「治部煮(じぶに)」という料理を知っていますか?治部煮は、江戸時代から親しまれている石川県金沢市の郷土料理です。鶏肉や鴨肉に小麦粉をまぶし、季節の野菜と一緒にダシの中でサッと煮たてて作ります。まぶした小麦粉が鶏肉や鴨肉の旨味を閉じ込めるとともに、ぷるんとした独特の食感を生み出し、ほど良いとろみをつけてくれる一石三鳥のお料理です。
私がこの料理に出会ったのは、今から15年前です。なめらかなベールに包まれ、柔らかくてジューシーなお肉がダシと絡んで、感動的な味わいだったのを覚えています。今回はこの調理法を使ったレシピ「ふわとろ卵とじのトンてり煮」をご紹介します。
合わせるワイン
フロンテラ カベルネ・ソーヴィニヨン
[分類] 赤ワイン・ミディアムボディ
[生産] チリ
[品種] カベルネ・ソーヴィニヨン
合わせるワインは、「フロンテラ カベルネ・ソーヴィニヨン」。チリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンで造られるワインは、「チリカベ」の愛称で親しまれています。フロンテラのチリカベは軽やかでスムースな飲み口が特徴です。カシスやブラックベリーの果実味にコショウのスパイス感、グリーンハーブのニュアンスを感じます。
ワインだけでいただくよりも、お料理の力を借りて一段とポテンシャルを発揮できる印象もあります。ちょっとした前菜より、野菜とお肉をあわせた「しっかりした」お料理を合わせたいですね。ワインは冷やしすぎず、料理と一緒に口に含むと、仕上げのソースをかけたような役割をしてくれます。
材料:2人分
豚肉(こまぎれ) 120g
A 塩 少々
A 片栗粉 小さじ2
B 水 150cc
B しょうゆ 小さじ4
B みりん 大さじ1
B 砂糖 小さじ2
B ショウガ(チューブ) 小さじ1/2
卵 1個
小ネギ(小口切り) 適宜
作り方
【1】 豚肉を一口大にカットし、ポリ袋に入れたらAを入れる。 【2】空気を入れて袋の口を閉じたら、袋をふってAをまんべんなくまぶす。 【3】フライパンにBを合わせてさっと混ぜ、中火で加熱する。煮立ったら【2】を投入する。※煮汁に沈めるのではなく、のっける感じに。粉のついた部分が煮汁から出ていても気にしない。 【4】蓋をして中火で2分ほど、蒸し煮状態にする。※豚肉の色が変わり、表面の片栗粉が透明のフィルターで包んでいるような見た目に変化します。 【5】溶き卵を作ったらドドッと入れず、少しずつ全体にまわしながれ入れる。卵が半熟状になったら全体を軽くひと混ぜする。お好みで小ネギを散らして完成。 この調理法は、ダシを甘酢のタレにすれば「酢豚風」に、豚をエビに変えてチリソースで煮れば「エビチリ風」と、アレンジ方法はさまざまなので、ぜひ自己流のアレンジ法を見つけてみて下さい。 また、今回合わせた「フロンテラ カベルネ・ソーヴィニヨン」の特筆すべきは和食との相性です。焼き鳥のタレに七味、照り焼きに山椒、からしをつけた豚の角煮など、スパイスを添えた甘辛い味付けにバッチリ合います。チリ産ですが、日本の食生活に合わせて造られたワインと思うほど和食に合うので、ぜひ料理と楽しんでみて下さい。