ワインには辛口と甘口がありますが、ひとえに甘口と言ってもその種類は様々です。今回は、そんな甘口ワインの造り方や種類についてご紹介します。
なぜワインが甘口になるの?
ワインが甘口になる理由は主に3つあります。
・ワインの原料となるブドウの糖度が高い
人気の高い極甘口ワインである貴腐ワインやアイスワインが含まれます。
・発酵前や発酵途中にアルコールを添加して糖分を残す
酒精強化ワインやフォーティファイドワインと呼ばれ、アルコール度数の高さから食後酒として飲まれることも。
・後から甘味を添加する
フレーバードワインと呼ばれるもので、物によっては食前酒として飲まれます。
ブドウの糖度を高くする方法
ワインの原料となるブドウの糖度を高くするためには、主に4の方法があります。
・成熟したブドウ果実にカビをつけて水分を飛ばす
成熟したブドウの果実にボトリティス・シネレアという灰色カビがつくと果皮に穴が開き、そこから水分が蒸発して糖分がグッと濃縮された果実が出来上がります。それを使用し造られたワインを“貴腐ワイン”と言います。有名なのはフランス・ボルドーの“ソーテルヌ”やドイツの“トロッケンベーレンアウスレーゼ”ですが日本の山梨県でも造られています。
・ブドウを凍らせて水分を氷結させる
寒い地方で栽培されたブドウの果実が氷り、水分が氷結しブドウの糖分がぐっと濃縮されます。いわゆるカナダの“アイスワイン”やドイツの“アイスヴァイン”がこれに当たります。こちらも長野県で極わずかながら造られています。
・ブドウを陰干しする
ブドウを陰干しにして水分を蒸発させ、果実の糖分を凝縮させる方法もあります。イタリアの“パッシート”やヴェネト州の“レチョート”がこれに当たりますが、同じように陰干ししたイタリア・ヴェネト州の“アマローネ”は長く発酵させるために辛口ワインになります。
・ブドウの収穫時期を遅らせる
通常よりも遅くブドウを摘むことで成熟させるという単純な方法もあります。ドイツの“シュペートレーゼ”には「遅摘み」の意味があり、これに当たります。
酒精強化ワインやフレーバードワインはどんなワイン?
酒精強化ワインは発酵前や発酵中にブランデーなどの高いアルコール度数のお酒を加えて発酵を止めることで糖度の高いワインを造りだします。
ポルトガルの“ポートワイン”が甘口の酒精強化ワインとして有名ですが、原料のブドウや発酵の度合いによって辛口になるものも。例えばスペインの“シェリー”がこれに当たり、甘口はペドロ・ヒメネスかモスカテルという品種を使用したものになります。
フレーバードワインも添加する甘味の量によって甘口になる場合もあれば辛口になる場合もあります。スペイン発祥のサングリアはワインにフルーツやスパイス、甘味を添加し寝かしてつくる代表的なフレーバードワインとして人気が高いですよね。
甘口ワインって何度で飲めば美味しいの?
特にソムリエがいたりワインに詳しい人がいるお店で飲む場合は、ちょうど良い温度でワインを提供してくれるために美味しくいただくことができます。しかし、購入したワインを家で楽しみたい場合には、自分でちょうど良い温度にして飲んだほうがより美味しく飲むことができます。
基本的には白ワインが低め(下限が6度、だいたい10度前後)、赤ワインが高めの温度(上限が20度、だいたい14度から16度)で飲むと美味しいとされていますが、甘味が強い甘口ワインの場合は冷蔵庫に入れて低温で飲むと美味しいですよ。
ただし“ポートワイン”の中でも“ヴィンテージ・ポート”に当たるものは甘口でも18度から20度で飲むのが美味しいとされており、その他の“ポートワイン”についても、甘味が強い甘口ワインにしては高い温度で飲んだほうが美味しいとされています。
まとめ
最近では辛口ワインの人気が高まっているようですが、2016年に放映されたTBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』に登場したカナダのアイスワインが話題となり、甘口ワインにも再び注目が集まっています。ぜひ、自分の好みにぴったりな甘口ワインを見つけて美味しく飲んでみてくくださいね。
<参考>
「甘口ワインの造り方」
「ワインの温度」
「ポルトガルワインの崖の上」
『アカデミー・デュ・ヴァン ワイン受験講座2016』
P154「シェリー」
P283「ワインの供出温度」