安全で美味しいワインを守るため! 2018年から適用の“ワイン法”とは?




フランスをはじめとする世界各国では、ワインに関する法律が独自に定められており、原産地や原料であるブドウの品種・収穫年の表示義務などが細かく決められています。 ワイン法は、生産者が産地や原材料に嘘偽りなく表示させ明瞭化すること、消費者がワインの表示を見たときに、どのようなワインなのかをわかりやすくすることなどを目的としています。今回は日本のワイン法についてご紹介します。


発展には不可欠?日本ワインと法律の変化


日本ではこれまでワインを国税庁が管轄する酒税法の中で取り扱ってきましたが、2015年に初めて「日本ワイン」の定義や表示ルールを制定し、その3年後である2018年10月30日から適用することになりました。 この背景には、近年日本でのワイン消費量が増加してきていること、そして「日本ワイン」の高品質化が上げられます。海外でも高い評価を受け、権威ある賞を授かるワインも登場したことは記憶に新しいですが、同時に法律が明確に定められていない場合に懸念されるのは“偽物”の流通です。それを防ぐ目的もあり、今後ワイン法がワインの流通に力を発揮していくことが予想されています。


ワインの法の基準と表示について


「日本ワイン」は国産ブドウのみを原料とし、日本国内で製造された果実酒と定義されます。その他の国内製造ワイン(原料が国産ブドウとは限らないもの)、輸入ワインなどを明確に区別すると同時に、日本のどこの産地で造られたブドウが使用されているものなのか、どういった品種が使われているのか、そしてどの年に収穫されたブドウが使われているのかなどの情報を表示することになります。


任意表示


ラベルの表にワインの産地、醸造地、輸入原料の表示が可能です。例えば産地に関して言えば、表示された産地のブドウが85%以上含まれているということになります。同様に収穫年、品種の表示も85%以上含まれている場合のみ表示が可能となり、これはEUのワイン法の基準と同等になります。 ただし、品種に関しては、単一品種を表示する場合は85%以上使用していることが必須です。2品種を表示する場合は合計で85%以上使用していること、3品種の場合も同様で、それぞれ使用割合が多い品種から順に記載しなければなりません。


義務表示


裏ラベルには必ず表示しなければならない項目があります。「日本ワイン」の場合は「日本ワイン」という文字、品目、原材料名及び原産地、製造者、製造場所在地、内容量、アルコール分です。消費者にわかりやすい表示をするという観点から、この中で「日本ワイン」の記載と原材料名及び原産地名の記載が新たに義務付けられました。


「85%」は厳しいの? それとも……





産地、収穫年、品種を記載する場合は、記載したものを85%以上は使用していなければならないという日本のワイン法は世界的に見た場合、果たして厳しいのでしょうか? 例えば、先述したように「85%」という数字はEUのワイン法に準じたものです。しかし産地に関して言えば、フランスの法律であるA.O.C.(原産地統制呼称、トップカテゴリのワイン)が表示されている場合、その産地のブドウが100%使用されていないといけません。 近年栽培面積、ブドウの収穫量共に増大しているアメリカの場合は、州によってそれぞれの割合が異なります。カリフォルニア州は産地に関して州名を記載する場合は100%、品種に関しては75%以上、A.V.A.(政府認定栽培地域)を表示する場合は85%以上、畑を表示する場合は95%と定められています。 また、ワイン産業の発展が目ざましい南アフリカでは、品種と収穫年に関しては85%以上ですが、原産地呼称であるW.O.産地表示の場合は100%。日本への輸入が多くカジュアルなワインが多いチリでは、それぞれ75%以上となっています。 このことからわかるように、より高品質なワインほど表示に関するパーセンテージが厳しく取り決められていることが多いようです。また、指定する産地が狭まるほど、その割合は高くなります。 「日本ワイン」に関する表示の基準が85%以上というのは、今後を見越しても妥当な割合だと言えるのではないでしょうか。というのも、日本の銘醸地である山梨では2010年より「甲州市原産地呼称ワイン認証制度」を、長野では2003年より「原産地呼称管理制度」を導入しており、申請したワインを対象に地理的表示に関してより厳しい基準を設けています。ワインのブランド性を強く打ち出したい場合、厳しい基準をクリアしたという証明になります。


まとめ


ワインを愛する皆さんには「美味しいワインを飲みたい」という共通した思いがあるはずです。そして、飲むワインが増えていくと「より美味しいワインを、できれば自分で選びたい」という思いが生まれてくることと思います。 日本のワイン法は、そんなワイン愛好家の思いを少なからず叶えるものです。ワイン法を知って、ラベルの意味を読み取りながら自分で美味しいワインを選び取れるようになると、ワインを飲む楽しさはより深まるでしょう。 <参考> 日本ワイナリー協会 ・『日本ソムリエ協会教本 2016』 P43 日本 ワイン法

お酒と書籍をこよなく愛すワイン好きなライターです。ワインの魅力にとりつかれ、現在ワインエキスパートを目指して勉強中。「ワイン=敷居が高い」という既成概念を壊していきつつ、一緒にワインの楽しさを探っていきましょう。

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