よく分かる!日本ワインブームだからこそ知っておきたい日本ワインの歴史

財務省が発表した貿易統計により、日本における2016年のチリワイン輸入量が約5046万リットルと伝えられました。フランスワインの輸入量は4571万リットルだったことからもチリワインは国内輸入量を2年連続で上回ったこととなり、結果的に輸入ワイン1位の座は2016年もチリとなりました。

カジュアルながら高品質なチリワインブームは、まだまだ続くと見られていますが、その裏で湧き起こっているのが日本ワインブームです。今回は、その理由を探るために、日本ワインの歴史と歩みを解説していきます。

日本ワインの発祥

数千年のワイン造りの歴史を持つヨーロッパとは違い、日本のワインにおける歴史は始まったばかりといえます。

一説によると、長野県の縄文遺跡からヤマブドウの種子がついた土器が発見されるなど、縄文時代よりワイン造りが日本では行われていたといわれています。ただし、ハッキリとした確証が無く、日本のワイン造りのスタートは未だ研究されている段階です。

ただ、日本の固有種である甲州種が、シルクロード経由で奈良時代の高僧であった行基により、718年に持ち込まれました。1186年には雨宮勘解由という人物が自宅に自生していた甲州種を、勝沼で栽培し始めたなど、ブドウ栽培に関しては、1000年前後には行われていたとみられています。

日本初のワイン造り

江戸時代の頃、山梨県のブドウが良いものができるということで、将軍家に献上されていました。しかし、本格的なワイン造りが始まったのは明治時代の初期でした。文明開化の時代を迎えた日本において、明治政府は田畑に不向きな土地で育つブドウを原料とするワイン造りに目をつけます。

その後、1870年には山梨県甲府市で「ぶどう酒共同醸造所」が創立され、甲州種を使った日本初の国産ワインが生産されます。また、政府活動の一環として1876年には北海道・札幌市にて「開拓葡萄酒研究所」が創立されるなど、官製や民間のワイン醸造所が開設されていました。

民間で初のワイン醸造所

そして、日本ワインの歴史のなかで最も重要とされているのが、1877年に民間で最初のワイン醸造所として生まれた、後のメルシャンとなる「大日本葡萄酒会社」です。

1877年に高野正誠と土屋竜憲の二人をフランスへワイン留学させた2年後、岩崎光太郎を加えて、本格的な日本のワイン造りがスタートしたのです。

日本ワインの盛り上がりと衰退

日本初の民間ワイン醸造所が生まれたのち、山梨県ではワイナリーが増加します。また、マスカットベーリーAやブラッククイーンを生み出した、日本ワインの父と呼ばれる「川上善兵衛」が1890年の岩の原葡萄園を開くなど、日本でのワイン造りが盛り上がりをみせます。

1939年には全体で約3,700軒にまで達し、さらに1940年代の後半には太平洋戦争の影響で生産量は急増します。ワインに含まれる有機酸の酒石酸が潜水艦の音波探知機の振動子に利用できることから、軍事目的でワインの生産量が増加したのです。

しかし、ワイナリーの数自体は戦時中の強制的な統合により減少。戦後も、ワイン産業が低迷を続けます。しかし、その後、蚕産業の低迷の煽りをうけ、ブドウ栽培に手をつけるものが増加していき、徐々にブドウ生産量は増加していきます。

日本ワインのブーム再来

昭和中期から後期にかけ、徐々に国産ワインの生産が安定的になってきました。ただし、甘味果実酒が主流であったことからも、本格ワインの需要を喚起するような爆発的なブームは起きることはありませんでした。

そんな日本の本格ワイン需要の転機となったのが、1964年の東京オリンピック、1970年の大阪開催の日本万国博覧会です。欧米の食事が日本国内へ広く浸透することでワイン輸入量が増え、海外へ出向く日本人も増加しました。

食中に辛口ワインを飲むスタイルが広がりを見せ、さらには高度経済成長の時期も重なったことにより、1975年には甘味果実酒と本格ワインの消費量が初めて逆転します。

高品質化する日本ワイン

ワイン需要量が増えたことで、消費者も自国のワインに目が向き始めます。1980年代後半には、大手ワイナリーを中心にワイン用ブドウ(ヴィティスヴィニフィラ種)への本格栽培が始まり、2000年代に突入すると自社畑を持ち、そのブドウからワイン醸造を行うドメーヌ式の生産者も急増するなど、ワイン生産革命が起こります。

ここ10数年の間に日本ワインは驚くべき進化を遂げており、海外のコンクールを受賞するほどの成長を遂げています。

しかし、小規模生産者が増加しており、ブドウの苗不足の状況が続いています。今、日本ワインは歴史至上、最も重要な過渡期を迎えているといわれています。 今後、どのように日本ワインが成長を遂げていくのかは未知数です。ワインファンとしては、日本ワインの美味しさを味わいながら、今後の動向をしっかりと見守っていきたいものです。

山梨県生まれの東京暮らし。フリーライター。音楽、ラジオ、ファッション、グルメなどさまざまなフィールドで活動中。甲州ワインに日常的に触れていたことで、知らぬ間にワイン通に…。ワインのちょっとした知識を小出しに紹介していきます。

おすすめの記事

旅するアルメニアワイン輸入者The Ancient World代表「田村公祐」さんインタビュー

世界最古のワインというとジョージア(グルジア)を思い浮かべる人が多いと思いますが、実はアルメニアも、ジョージアと並んで世界最古のワイン生産地といわれています。ワインの文化は、フランスやイタリアなどヨーロッパだけでなく、中近東にも魅力が詰まっているみたいですね。 今回は中近東各地を年に何度も訪問し、自身でオリエンタルワインを輸入する田村公祐さんにお話を伺いました。

駅近1分。オシャレ着・手ぶらで行ける「CARVINO(カルヴィーノ)」で本格イタリアンBBQと限定ワインを味わおう!

東京ドームアトラクションズをバックに背の高い木々に囲まれて、本格イタリアンBBQ広場「CARVINO(カルヴィーノ)」が2017年6月10日(土)にオープンしました。オープンに先駆けた先行イベントに参加してきましたので、その様子をご紹介します。

ソムリエがテイスティングして飲み比べ!デイリーワインで人気の動物ラベル3種、それぞれのお味は?

今回は、ソムリエの小野沢さんに協力してもらい、動物ラベルワインの中でも、とくにみなさんが目にする機会が多い、白ワイン3種類を飲み比べてみました。いずれもチリ産で、1本500円~600円台(※販売店による)でリーズナブルに買えるという共通点がポイントです。

関連コラム

飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されております。 Copyright © 家ワイン All Rights Reseved.