国産のプロセスチーズが比較的安価なのに対して、海外のナチュラルチーズは高価だと感じる方も多いと思います。チーズ専門店で価格を見ると、100gで500円以上するものが多いので、ナチュラルチーズを奮発して買った時は、料理に使うよりそのまま少しずつ味わって食べた方が良いのでは…と思ってしまうほどです。
フランスやイタリアで毎日の食卓に欠かせないチーズが、日本ではなぜこんなに高価になってしまうのでしょうか?今回はその理由をご紹介したいと思います。
チーズには高い関税と輸送費が掛かる
外国からチーズを輸入する場合は、国内産業の保護などを目的として輸入関税が課せられます。一般的なチーズの関税率は、取引価格と輸送料、そして保険料を合算した価格に対して29.8%です。
つまり、チーズ本体の価格だけでなく、輸送費や保険料が上がれば、チーズの価格も上がってしまうのです。
ソフトタイプのナチュラルチーズは空輸で
1964年の東京オリンピックを期に、フランスからカマンベールのようなソフトタイプのナチュラルチーズの空輸が始まりました。その前から日本にも海外のナチュラルチーズはあったのですが、それは船便で輸入された長期保存のできるハードタイプのチーズだけでした。
ヨーロッパから約1ヶ月かけて日本へやってくる船便では、賞味期限の短いナチュラルチーズを運ぶことができないので、空輸するしかありません。当然、船便より空輸の方が費用は高くつくので、ソフトタイプのナチュラルチーズはその分価格も上乗せされてしまうのです。
おもしろい例として、パルミジャーノ・レッジアーノはイタリアでは最も高価なチーズの一つですが、日本へは船便で運ばれることが多いので、日本の市場では、他のイタリア産のチーズより安価になるという現象がおこっています。
日本で造られるナチュラルチーズの価格は?
北海道から沖縄まで、日本のチーズ生産者は現在約240軒ありますが、大手の乳製品メーカーを除けば、そのほとんどが家族経営の小規模な生産者です。
近年、日本のナチュラルチーズは品質も高く、評価もうなぎ上りですが、それは小規模なチーズ生産者が手間暇をかけて大事に牛等の家畜を育て、手作業で丁寧にチーズを造っているからなのです。よって、小規模生産者の造るナチュラルチーズは大量生産できない等の理由から、海外のナチュラルチーズとは別の理由で高価なものが多いのが現状です。
まとめ
理想的な栄養食品とうたわれるチーズですが、特にナチュラルチーズは我々日本人にとってはまだまだ嗜好品なのかもしれません。ナチュラルチーズが特別な日のワインのお供としてだけではなく、もっと手軽に日本人の食生活に取り入れられるようになることを願ってやみません。