チーズは牛のミルクから作られるものが多いですが、山羊や羊、また地方によって南アメリカではアルパカのチーズなど特徴的なチーズが作られています。今回は春先に出産シーズンを迎える山羊のチーズに注目します!山羊はフランス語でシェーブルと呼ぶので、日本でもシェーブルチーズ、または英語でゴートチーズと呼ばれ、多くのファンがいます。
どうして山羊のチーズは春夏なのか?
山羊のチーズの特徴
山羊のミルクは高たんぱくで低脂肪という、非常に優れた特徴を持っています。なので、アスリートや健康に気を遣う人にもオススメです。また、牛乳に比べて山羊のミルクは人間の母乳に近い性質から、ヨーロッパなどでは子供たちに山羊のチーズからスタートさせることも少なくないそうです。チーズの色や特徴は季節によって異なり、「夏のチーズのほうが緑の濃い草を食べて育つので黄色くなる」や「冬のほうが夏に比べて動物たちが水分を取らないため、夏は淡白で冬は濃厚になる」などチーズは様々な言われ方をしますが、フレッシュタイプの山羊チーズの特徴としては美しい白色といえるでしょう。
山羊のミルクの香り
山羊のミルクは牛乳に比べ粒子が細かく、外部の環境に影響を受けやすい特徴があります。つまり、山羊たちに与える飼料や育てる環境作りにこだわれば個性が出てくるということにも繋がります。
ヨーロッパのオーガニックミルクの基準で育てられた山羊のチーズの中には驚くほど臭みのないものもあります。それは、山羊たちに日照時間やのびのびした放牧環境、遺伝子組み換えでないオーガニック飼料を与えているなど様々な要因が重なった結果、生み出されたものでしょう。この外的要因は、動物たちの精神的なストレスフリーへも影響し、健康的なチーズが出来上がることにもなるのは明確ですね。
有名な山羊のチーズ
円柱の薪のような形が特徴的なサント・モールは、チーズ専門店だけでなく輸入食品が多く並ぶスーパーなどでも取り扱われていることが多いので手に入りやすいですね!白カビタイプの外側が白色のものから、表皮には木炭の粉がまぶしてある外見が黒っぽい有名な「サントモール・ド・トゥーレーヌ(AOC)」など様々楽しめます。空気を通すために柱の中心に麦わらが通してあるのが特徴です。輪切りにしたときには断面から熟成度合いもぜひチェックしてみください。
山羊のチーズは大きさが小さなものが多く、中でも5センチほどのコロンと丸い「クロタン」は昔から愛されています。このチーズを切るため専用の小さなクロタンナイフというものも存在します。
クロタンより少し大きめの四角錐型で、ロワール川流域のヴァランセ村で造られる「ヴァランセ」もまた有名な山羊のチーズです。表面は灰にまぶされており、熟成が進むと濃厚でピリッとした辛味も感じられ、辛口の白ワインともよく合います。シェーブルも熟成度合いは人それぞれの好みがあり、いろんな顔を楽しみたいですね。「セル・シュル・シェールAOP」というポプラの木炭を使う特徴のある平たい円型のチーズもあり、熟成が短い時は水分量の多い滑らかな舌触りも楽しめます。また、「セル・シュー・クッフィ」は表面の灰に少し青カビが現れ上品で複雑な味わいをもたらしてくれ、珍しいものを求めている方におすすめです。
フロマージュブランと言えば牛乳のフレッシュチーズとして有名で、日本でも生産されていますが、山羊タイプも時々手に入ります。熟成をしていないので臭みが弱く感じられ食べやすく、上記の特徴より子供からお年寄りまで毎日の健康的な朝食のヨーグルト代わりにすることもおすすめします。はちみつやジャムなどを合わせると一層万人受けする味になりますよ。
フレッシュやセミハードチーズ以外にももちろん山羊のゴーダチーズなどハードタイプも生産されています。山羊のチーズは世界中で生産されているので、様々な国に訪れて珍しいものに出会うこともあるでしょう!
ワインとの相性について
香ばしいコクを感じる山羊のチーズはナッツに合わせたり、白ワインと相性が良いと一般的に言われますが、山羊のチーズと一概に言っても様々なタイプがあります。
乳酸菌凝固で造る、白カビの山羊のチーズのスペインメーカさんは、重めの赤ワインをおすすめしていました。ぜひそれぞれの山羊のチーズに合わせて、ワインのマリアージュをチーズショップの方に相談してみたり、自分で試して楽しんでみてください。