石川県に期待の新ワイナリー誕生!金沢ワイナリーの井村辰二郎さんを直撃

今、日本各地でワイナリーを立ち上げる人たちが増加しています。しかし、そのなかには憧れだけや手軽さからワイン事業をスタートさせてしまう方も多いようで、その品質に首を傾げたくなるようなワインが散見されるという話も耳にします。では、我々のような一般消費者は、どんな新規参入者たちを応援するべきなのでしょうか。

実は今年、石川県に日本ワインの未来を担う期待のワイナリーが設立されました。それが「金沢ワイナリー」です。金沢市内に醸造所兼レストランをオープンさせる計画も進んでいるという、このワイナリー。今回、株式会社金沢ワイナリー代表取締役の井村辰二郎(いむらしんじろう)さんに、金沢ワイナリー設立までの経緯や今後の展望、そしてプレ・ファースト・ヴィンテージの「MIEKO キャンベルアーリー 2016 ペティアン」についてたっぷりとお話を聞きました。日本ワインファン必見のインタヴューです。ぜひ、お楽しみください。

【前編】金沢ワイナリーが設立するまでの経緯

Q.なぜ、ワイナリーを設立しようと思われたのでしょうか?

ワイナリー設立まで、順を追ってご説明していきます。私は、20年前に脱サラをして農業をはじめました。当時、有機農業に転換してお米と麦、大豆を作り出していたのですが、同時に消費者と強く結びつきたいと思うようになってきたんです。

お米はそのままご飯として食べていただけるのですが、麦や大豆はなかなかそのままでは食べていただけません。自分たちで作った麦や大豆を食卓へ届けるのであれば、加工しなければならないと思い、20年前に豆腐と味噌作りもはじめたんです。日本の伝統食品である豆腐、そして発酵食品の味噌。これらをまたいろいろな形で商品にして、今まで販売してきています。

Q.米や麦、大豆づくりだけでなく、お酒を扱おうと思われたのは何故なのでしょうか?

今、醤油や味噌、コーヒー、きなこなど大体120個くらいのアイテムを「金沢大地という会社で扱っています。そういった商品のなかでも、地域の商品として相性が良いのが「お酒なんですね。

当社ではまず、日本酒を造りました。2007年に海外の市場に広めていこうということで、地元の中村酒造さんとタイアップして有機純米酒「AKIRAという日本酒を造ったんです。3,000本輸出しており、今はアメリカの市場にも多く出回っています。

Q.まずは日本酒からだったのですね。焼酎にも関わっていると伺っていますが?

実は能登の方に、日本醗酵化成という麦焼酎を造っている蔵元さんがあります。素晴らしい焼酎を造っておられるメーカーさんなのですが、当時大麦に関しては九州産のものを使われていたんです。地元の焼酎であれば、地元産の原料を使った方が良いはずです。

当時、ちょうど私たちが能登の方で耕作放棄地を開墾して広げていたこともあり、能登産の大麦を作り始めたのです。現在では、その大麦を使用した有機麦焼酎「能登のムしが販売されており、「平成28年度プレミアム石川ブランド認定製品にも選ばれました。

Q.ここからブドウづくりに繋がっていくのでしょうか?

はい。先ほど、能登の耕作放棄地を開墾していったとお伝えしましたが、米も麦も育てられない痩せた土地も当然あるわけです。さらに、厳しい傾斜地も多くありました。「ここで一体、何が作れるのだろう…と考えた時に出てきたのが「ブドウという可能性が生産者として出てきたんです。私はお酒が好きですし、ワインも大好きなんです。

実は、数年前に新潟県にあるカーブドッチ・ワイナリーを視察したことがあったのですが、そこで「日本海側は、ブドウに不適切な場所ではないよということを聞かされたんです。日照時間を取ってみるとわかりますが、日本海側は夏に天気が良い日が多く、決してブドウに適さない土地では無いということを聞いた時、目から鱗といった感じだったんです。

Q.では、早速ブドウづくりをスタートさせたのでしょうか?

いえ、そうでは無いんです。実際には、能登ワイナリーさんが高品質なワイン造りをしていたり、富山県氷見市のセイズファームさんなども有名になったりと、北陸でも良いワインを造るワイナリーが増えてきているので、タイミング的には良かったんです。

しかし、ワイン造りとなると酒造免許や醸造技術の勉強など、さまざまなことが必要となります。ワイン造りは夢であり、私の計画には入っていないものだったんです。

Q.ワイン造りをしないという予定だったのにもかかわらず、一体なぜその業界に飛び込んだのでしょうか?

実は2年前、昔からお世話になっているサラリーマン時代の先輩に「夢の棚卸しというものをさせられたんですよ。要するに、自分がやりたいこと、実現したいことを遠慮なく言い出すことですね。

当時、私は53歳だったのですが、先輩から「普通、事業をスタートさせるんであれば50歳くらいからが普通だろう。お前は、20年前から事業を始めて一つの形になったかもしれないが、全てやりきったような顔をしているんじゃないぞ!と、言われてしまったんです。

これから20年、30年と先もあるなかで、お前は何がやりたいんだと追いつめられて、思わず「ワイナリーがやりたい!と言ってしまったんです。意外にも肯定的に捉えてくれたこともあり、そこからワイナリー設立に向け本格的に動き始めました。

Q.ワインの事業化ができると決心できたのは何故でしょうか?

自分でブドウをつくり、そのブドウからワインを造ることを事業化するには何が必要なのかということを、全国各地をまわって考えました。結果、あと20年くらいあれば、しっかりとした形にできるんじゃないかと思えたんです。

ワイナリーを設立することで今まで私たちが作ってきた小麦粉や有機野菜など、テロワールの表現にも繋がっていくと考えることができたんです。これらがワイナリー設立のキッカケですね。

前編まとめ

前編では「金沢ワイナリー」が設立するまでの経緯をお伝えしました。後編は今後の展望やファーストヴィンテージワインについてお聞きしています。ぜひ、続きもお楽しみください。

山梨県生まれの東京暮らし。フリーライター。音楽、ラジオ、ファッション、グルメなどさまざまなフィールドで活動中。甲州ワインに日常的に触れていたことで、知らぬ間にワイン通に…。ワインのちょっとした知識を小出しに紹介していきます。

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