ワインの香りの表現で聞く「熟成香」や「ミネラル香」って何のこと?

ワインの香りを言い表すときに、「熟成香」や「ミネラル香」という言葉を聞いたりしませんか?なんとなく前者はワインが熟成したときの香り、後者は酸味や収斂性(しゅうれんせい)(※1)を感じる、火打ち石や石灰などの香りだと思う人が多いと思います。

その通りなのですが、今回はその香りについて、もう少し詳しくご紹介したいと思います。

※1:タンニンによって口の中が引き締まる感覚のこと。

熟成香は「第3アロマ」

最初に香り立つ第1アロマは、原料となるブドウ由来のものです。次に香る第2アロマは発酵由来のもの。そして最後に香る第3アロマは、木樽熟成や瓶内熟成を経たワインが持つ香りになります。熟成香である第3アロマは「ブーケ」とも呼ばれ、ワインに複雑性や香りの広がりを持たせます。

熟成香は主に2種類あり、酸化による熟成から発生する「酸化香」と、ボトル内の還元的な熟成による「還元香」に分けられます。

酸化香とは

酸化香には、主にオーク、バニラ、ロースト、動物臭、スパイス、ヨード、カラメル、ランシオなどがあります。

これらはブドウの香りや発酵由来の香りが、熟成によってまろやかに変化したもので、発生する原因は長期の熟成や新樽での熟成、酸化防止剤が少ないことや、何らかの状況下による好気的状態などの様々な理由が考えられます。

熟成のピークである飲み頃に向けて、酸化反応は続いていきますが、全てのワインが熟成に耐えうるわけではありません。熟成に耐えうるかどうかは主に、ポテンシャルの高さで言い表しますが、ポテンシャルの低いワインは、いくら長期間寝かせておいたところで、素晴らしいブーケは発生しません。

還元香とは

瓶の中の酸素がなくなり、還元状態になったことから発生した香りを「還元臭」と言います。

しかし、酸化防止剤、ステンレスタンクなどの密閉状態、高い酸度、炭酸ガス、タンニンが原因し、酸欠状態の中、還元的(嫌気的)に熟成した際の香りを「還元香」と呼ぶことがあります。

還元臭は基本的に、開栓して酸素に触れしばらくすると無くなるもので、不快な香りに分類されますが、還元香に関しては熟成香として好意的に解釈する場合もあるようです。

例えば、スモーキーや火打ち石、火薬、金属に加え、ミネラル香。実は第1アロマや第2アロマだと思いがちなこれらの香りは、その還元に由来する場合もあるそうですよ。

ミネラル香とは?

前述したように、第3アロマの還元香として感じられることがあるミネラル香。白ワインに対して使うことが多く、火打ち石、チョーク、湿気を含んだ土、インク、墨汁、鉛筆の芯、貝殻、ヨードなどで表現されることがあります。

若々しく酸味や苦味、塩味を感じさせるワインに多く、第1アロマや第2アロマでも、それぞれに感じることがあります。ブドウの土壌にミネラルが含まれていることがあり、さらに発酵過程でも発生することがあるからです。

例えば、ブドウにつくウドンコ病を予防するために散布されたイオウが、そのまま感じられ、ミネラル香だと表現されることがあります。これはブドウ由来なので第1アロマになります。

シャンパンやロワールのワインを製造されるときに採用される、あえて滓引きを遅らせるシュール・リーという製法でも、貝殻の香りが発生することがあります。これは第2アロマで感じられるものとなります。

このようにミネラル香とは、第1アロマ~第3アロマまで、いつ香り立ってもおかしくないワインを表現する際には重要なニュアンスです。

 
熟成香第3アロマ・ブーケ → ポテンシャルの高いワインにのみ発生)
 └酸化香 → オーク、バニラ、ローストなどの丸みある香り。
 └還元香 → 石灰、火打ち石、金属、火薬など鋭さのある香り。    
   └還元臭 → 開栓後すぐに香り、時間の経過と共に消えていく。

まとめ

ワインは、たった1本からでも、実に様々な香りを感じられることができます。その香りが何に由来しているのかを考えながら飲むと、知覚の世界が広がっていくようですよね。

今まであまり香りを意識して飲んでいなかった方も、少し意識をしてみると、驚くような発見があるかもしれませんよ。ぜひワインを飲む際には、どれが熟成香やミネラル香なのか、感じとりながら楽しんで味わってみてくださいね。

<参考文献>

「テイスティングは脳でする」著者:中本聡文・石田博

一般社団法人日本ソムリエ協会 P82~P91「第3アロマの分析法」を参考

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お酒と書籍をこよなく愛すワイン好きなライターです。ワインの魅力にとりつかれ、知識を深め、ワインエキスパートの資格を取得。「ワイン=敷居が高い」という既成概念を壊していきつつ、一緒にワインの楽しさを探っていきましょう。

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