列車でワイン!?日本有数のワイン産地を巡る旅~甲斐・信濃の葡萄酒紀行~

ワインを楽しむ旅がしたい時に、真っ先に思い浮かぶのはワイナリー巡りでしょうか?ワイン好きの方であれば、電車やタクシーを乗り継いで、ワイナリー巡りをした経験があると思います。

先日、スーパーあずさ5号に乗って、ふらりと長野県まで行ってきました。山梨県、長野県を通る路線は、駅弁や車内販売にもワインが取り入れられていて、移動中も楽しむことができたのでご紹介します。

ワインにまつわる魅力が満載の中央線「スーパーあずさ5号」

「中央本線」は、東京都千代田区の東京駅から、長野県塩尻市の塩尻駅を経由して愛知県名古屋市中村区の名古屋駅までを結ぶ鉄道路線です。実は「中央本線」は、ワインにまつわる素敵なポイントを巡る、魅力あふれる旅ができる路線なのです。

多くの特急列車が発着する新宿駅から「スーパーあずさ5号」に乗って出発。中央本線は、江戸時代に設けられた旧五街道のうち、「甲州街道」と「中山道」をなぞって関東と中部を結ぶ、総距離は400キロ弱の歴史ある大幹線です。

経由地には甲州の勝沼、信州の塩尻などブドウの名産地が並びます。他にも日本一の桃の生産量を誇る春日井や塩山、ウイスキーで有名な白州、高原野菜が名産の野辺山の入り口である小淵沢などを経由する日本有数のグルメ街道でもあります。

甲州ワインを車内で堪能

新宿を出発して1時間余りでいよいよ甲州です。長いトンネルを抜け、車窓左側に甲府盆地が広がったら「勝沼ぶどう郷駅」通過の合図。右手側には山肌にブドウ畑が広がっているのがご覧頂けます。

ここで車内販売から入手したワインを試してみましょう。

特急「あずさ」や「かいじ」では、ほぼ全ての列車で車内販売を行っており、「缶入りワイン」を取り扱っています。

製造元は笛吹市石和に本社を構える「モンデ酒造株式会社」さんです。石和温泉駅から徒歩10分の場所にある工場は、無料にて見学・試飲が可能です。ワインの風味を落とさないように造られた缶容器を初めて採用した(※)のがモンデ酒造さん。列車を降りなくても甲州ワインを堪能出るのが嬉しいですね。

プレミアム缶ワインは、白ワイン、赤ワイン、スパークリングワインの3種類あり、全て山梨県産のブドウを使用しています。

白ワインは、山梨県産の甲州種を使用し、フルーティな香りとみずみずしい果実味が楽しめます。赤ワインは、山梨県産マスカットベリーA種を使用し、鮮やかなルビー色とパンチのきいた渋みが特徴です。スパークリングワインは巨峰を使用し、やさしい甘みと爽やかな酸味を引き立てています。

備え付けのカップが嬉しいですね。沿線名物の駅弁と一緒に景色を楽しみながらワインを堪能できますよ。

(※)参照:http://www.daiwa-can.co.jp/news/081009.html

食事とワインが同時に楽しめる!日本初のワイン入り駅弁

甲府を離れ、八ヶ岳の山々を右手に眺めながら特急「あずさ」はさらに進みます。急勾配をぐんぐん上り、一山超えると地酒と花火で有名な諏訪に到着します。是非とも途中下車をして、名物の日本酒「真澄」についても触れたいところですが、今回はワインの旅ということで、ここでは割愛です。

中央本線最長の塩嶺トンネルを抜けると「塩尻駅」に到着です。塩尻は周囲を山に囲まれた松本盆地に位置する町で、冬の厳しい寒さと少ない降雪、激しい昼夜の寒暖差はブドウ造りに最適です。

名品種「ナイアガラ」に代表される信州葡萄の名産地、桔梗ヶ原の玄関口で、市内には多くのワイナリーが点在するほか、なんとワイン醸造を行う高校まである生粋のワインシティです。

駅のホームでもブドウが栽培されているので、ブドウに囲まれながら列車を待つことができます。収穫時期に訪れると、町全体を覆うブドウの甘い香りに包まれ、すぐに気分はほろ酔い状態。ブドウの品種が書かれた駅の看板も粋ですね。

そんなブドウ・ステーション塩尻駅ですが、驚くのはまだまだ早い。なんとこの駅では、ワインがボトルごと入った駅弁、その名も「ワインランチ」が楽しめるのです。

取り扱うのは塩尻駅弁当商店の「株式会社カワカミ」さん。ワインによく合う食材とボトルが詰め合わされたランチボックスです。

食事の量もワインのお供には最適で、デザートも甘酸っぱいワインゼリー。ワインに始まりワインに終わる、まさにワイン好きのための駅弁です。中のワインは白とロゼの2種類から選ぶことができ、お値段は1,000円です。

購入の際は3日前までに予約が必要で3つから注文を受付ています。受け渡しは駅の売店か本社のみというレアな駅弁ですが、旅の気分を盛り上げてくれること間違いなしですよ!

中央本線の美しい車窓を楽しみながら、芳醇な香りのメルローロゼを口に含めば、旅情のテイストはもうフルボディです。

塩尻名産の信濃ワインも車内販売で購入可能

こちらは予約なしで楽しめる信州ワイン。お土産に最適な2本セットもございますよ。

特急「あずさ」は塩尻で中央本線に別れを告げ、10分ほどで終点の「松本駅」に到着します。駅の売店には地元の多くのワインが並んでいるほか、毎年6月には40ものワイナリーが130種程のワインを取り揃える「ワインサミット」が開催されます。

ソムリエも常駐し、数多くの種類の中から自分の好みにピッタリのワインに出会えるため、ワイン初心者の方にも最適です。信州のおいしい郷土料理とのマリアージュも楽しめます。お気に入りの一本を見つけて車内に持ち込むのもいいですね。

最後に

列車で楽しむワインの旅、いかがでしたか。ワイナリーを訪れることができなくても、沿線特産の味を飲み比べることができます。

中央本線は山を駆け抜ける路線なのでカーブが多く揺れも激しいので酔いが本当によく回ります(実体験)。飲みすぎにはくれぐれもご注意くださいね!皆様が各々の最高の1本と出会えますように。

岐阜出身。2013年在学中にGnR代表に就任。2015年慶応義塾大学・理工学部卒。学生時代、オランダから来たベジタリアンの留学生Miekeと出会い、彼女の実家のオーガニック牧場のチーズ輸入をスタート。

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