「シャルマンワインは、もともと農家が集まってワインを造っていた、組合のワイナリーです。このような組合ワイナリーは、まだ勝沼にも残っていますが、要するに農家が集まって出資をして、くずブドウでワインを造る、ということから始まったワイナリーです。ちなみに、この組合長をしていたのが私の祖父でした。」
Q.後にシャルマンワインとなるには、どのような経緯があったのでしょうか。
「その後、組合は江井ヶ嶋酒造という清酒会社に吸収合併され、“清酒会社が応援するワイナリー”として、昭和39年にシャルマンワインが誕生しました。当時より自社農場を開き、今に至るまでヨーロッパ系のワイン用ブドウの栽培、そしてそのブドウを使用したワインを造っています。規模は小さいですが、栽培から醸造、瓶詰めまでを行い、特徴のあるワインを造り続けております。」
Q.現在、栽培されている品種は何でしょうか?
「今、最も多く栽培しているのが、カベルネフランです。そのほか、カベルネソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネ、セミヨン、甲州、マスカット・ベーリーAの計7種類を栽培しています。」
Q.自社畑の特徴について、お聞きしてよろしいでしょうか?
「このワイナリーの目の前には、甲斐駒ケ岳が広がっています。甲斐駒ケ岳は、主に花崗岩の白い岩肌が特徴の山なんですね。その地層が、ここ白州一帯の地層の下に広がっている…つまり扇状地になっているわけです。
表土は黒ボク土なのですが、1メートルくらい掘ると、そこからは全て砂になっており、非常に水はけが良い土壌となっています。ちなみに、この白州町白須は砂地が多いことから、“白須”の名がついています。それほどに、砂地が多い土壌の地域、ということなんです。」
Q.醸造のこだわりがあればお聞かせください。
「シャルマンワインの最上級レンジのワインは、茎を徹底して取り除いてから、醸造へと進みます。除梗機を使用した後のブドウでも、まだ取りきれていない茎の破片などがありますので、その後、人の手で完全に除梗の作業を行います。茎のえぐみ、青臭さなどを排除した、ピュアで上質な味わいを目指しています。」
Q.樽の使い方にもこだわっているのでしょうか?
「カベルネフラン、カベルネソーヴィニヨンは特に力を入れている品種です。通常の新樽貯蔵にプラスして、30年くらいの古樽貯蔵のワインもブレンドとして入れております。
恐らくですが、ほかのワイナリーではあまりしていないことだと思います。その理由は、一般的には樽は6、7年使用した後は廃棄しますから。もちろん、我々もそのようにはしているのですが、たまたま素晴らしい樽がありましたので、それだけは現在も使い続けているんです。」
Q.30年の古樽とは、素晴らしいですね。
「古樽は落ち着いた味わい、そして濃さを出してくれます。一方、新樽は華やかな香りと味わいを出してくれます。古樽のワインを1から3割程度ブレンドして、上質なワインを造っております。私はこの方法が、カベルネフランの個性を最も引き立たせてくれると思っています。」
Q.カベルネフランの魅力は、どのようなところにあると思われますか?
「カベルネフランは、カベルネソーヴィニヨンやメルローのような、ガツンとした強い渋みや個性が少ない品種です。
しかし、とても柔らかでエレガントなワインが仕上がるところが特徴ですね。奥ゆかしく、料理を引き立ててくれる品種だと思います。簡単にいうと、カベルネソーヴィニヨンは男性的、カベルネフランは女性的といったところでしょうか。
落ち着いた柔らかい香り、控えめでエレガントな感じ…。もちろん、全ての人たちがカベルネフランをお好きかどうかは別のお話ですが、この味が好きな方は多く、そういった方々に満足していただくために、上質なワインを造り続けています。」
Q.何故、カベルネフランにこだわっているのでしょうか?
「先ほどもお伝えした通り、シャルマンワインは江井ヶ嶋酒造に吸収合併されて、昭和39年に設立されたワイナリーです。その後の昭和40はじめ、自社農園にはさまざまなブドウが植えられていたそうなんです。カベルネソーヴィニヨン、メルロー、セイベル、カベルネフランなど、いろいろあったようですね。そのなかで、段々と淘汰されていき、今のカベルネフランが残ったかたちとなっています。
昔は今よりもずっと気温が低かったため、外気がマイナス10度となる時もありました。当時、カベルネソーヴィニヨンは凍害でやられてしまったのですが、カベルネフランは残ったんです。砂が下にある、この土地があっているのか、自然と多くなっていき、尚かつ醸造しても良いワインができます。長い歴史のなかでカベルネフランが残ってきていることを我々もずっと見てきていますし、希少価値の高さからも、これからもカベルネフランを大切にしていきたいと思っています。」
Q.今、カベルネフランが日本ワインの注目品種と言われているようです。カベルネフランは、日本に合っているのでしょうか?
「何とも言えない、難しいところです。うちでも、自社畑のカベルネフランは、とても色が濃くなるのですが、少し離れた場所にある垣根畑では色が来ないんですよ。だから、カベルネフランは土地を選ぶと思いますね。」
Q.これからのシャルマンワイナリーについてお聞かせください。
「シャルマンワインの主軸は、カベルネフランです。まず、こういった品種は量が少なくても、高品質な高級ワインを造っていくことを大切にしていくつもりです。
一方、甲州やマスカット・ベーリーAに関しては量的にも多いので、中価格帯で造って提供しようとも考えております。近頃、農家さんの高齢化などの影響で周囲の畑を継続できなくなってきているので、そこで造られている巨峰や甲州などを活かしたワインも造っていきたいですね。
カベルネフランを看板に、この土地のブドウをバラエティ豊に活用していきたいと思います。」
まとめ
欧州系品種は難しい、と言われていた日本において、それらの品種を使用した素晴らしいワインを造り続けているシャルマンワイン。栽培はもちろん、醸造、樽熟成にいたるまで、手抜きをしない徹底的にこだわりを貫いたワイン造りに惚れ込むファンも多いのではないでしょうか。
シャルマンワインでは直売所が用意されているほか、農園や工場内も見学することができます。ぜひ一度現地へ赴き、シャルマンワインの世界を体感してみてはいかがでしょうか。
住所:山梨県北杜市白州町白須1045-1
TEL:0551-35-2603
見学時間:9:00~17:00(試飲・売店有り)
休日:12月31日、1月1日・2日
団体見学:団体で見学する時はご予約をお願いいたします。
ワインのご購入はこちら:http://www.charmant-wine.com/cgi-bin2/list.cgi?ctg_id=ccv
公式サイトはこちら