甲州ワインは国内だけでなく海外のコンクールでも受賞するなど、世界的に注目を集めています。特に21世紀に入ってからその進化は目覚ましく飲み手を唸らせてきました。
先日「グリド甲州」というワインを飲んで甲州のポテンシャルの高さを改めて感じたので、ご紹介させていただきます。
古くて新しい品種
甲州は日本を代表するブドウ品種です。その歴史は古く奈良時代に伝承されたとも言われています。日本の風土に合うため、名前の通り山梨県を中心とし国内に広く植えられてきました。この品種の特徴を一言で表すなら「奥ゆかしさ」です。どこか日本人の国民性とも似ている気がします。
香りは穏やかでニュートラル気味ですが、わずかに丁子の様なスパイスを感じます。これは果皮が藤紫色をしているため、醸造中にフェノール類がわずかに抽出されるからです。
味わいも突出した要素がなくコンパクトな広がりで、その控えめな性格ゆえでしょうか、甲州がそのポテンシャルを開花したのは実は最近のことなのです。
甲州のフロントランナー
1923年創業の中央葡萄酒は、日本ワインの魅力を世界に広めた造り手のひとつです。甲州がさほど注目されず不遇ともいえる時代を歩まされてきた頃から、甲州に期待を寄せ、試行錯誤を繰り返しながら造り続けてきました。
その道のりは険しく決して平たんではなかったことでしょう。そしてついにその努力がついに実を結び、2014年には同ワイナリーの「キュヴェ三澤 明野甲州2013」が、世界最大級のワインコンクール「デキャンタ・ワールド・ワイン・アワード」で金賞を獲得したのです。
この大会では約1万5000銘柄が出展されますが、金賞を獲得できるのはそのうちのわずか1%と非常に狭き門なのです。このことは日本国内のみならず世界中に大きなインパクトを与えました。
グリド甲州をテイスティングしてみました。
ワイン名の「グリド」は、甲州種の果皮の色を表すGris(仏語:ピンクがかった薄灰色)と、
De(仏語:〜の)から名付けられました。山梨県勝沼町の標高の高い山路地帯で栽培された甲州を100%使い、ステンレスタンクで発酵し熟成しています。
しかし上質な酸がワインに生き生きとしたフレッシュさとメリハリをもたらしており、喉元をするりと通り抜けるような心地よい一本です。ワインそのもので飲んでも美味しいですが、お料理と合わせるとより魅力が引き立てられます。
天麩羅、西京焼きなどの和食はもちろん、ハンバーグなどの洋食であっても、おろしポン酢を添えることによって柑橘フレーヴァが同調しあいます。ついもう一杯飲みたくなるような新しい甲州です。ワクワクするような日本ワインをお探しの方は是非お試しください。
ワイン名:グレイス グリド甲州 2016
タイプ:白ワイン(辛口)
品種:甲州種100%
提供温度:7度前後
相性料理:天麩羅、西京焼、ポン酢を使った料理