チーズの絵を描こうとすると、丸い穴がいくつか空いたチーズを書いてしまいますよね。ソフトやハード、穴が空いてないチーズが様々あるにも関わらず、穴あきチーズはチーズの代表的なデザインになっています。
今回はなぜ穴あきチーズができるのか、その理由に迫ってみたいと思います。
穴あきで有名なチーズ
エメンタール
“チーズの王様”と呼ばれ、チーズフォンデュに良く使われる「Emmental(エメンタール)」は、穴あきチーズの代名詞です。スイスのベルン北東部エメン峡谷付近が産地と言われています。
1つのホールが100kg前後あり、世界のさまざまな種類のチーズの中でも特に大きなチーズで、ホールで見ると迫力があります。直径1㎝よりも大きな穴があるので、カットする場所によっては穴が大きすぎて、バラバラになってしまうという難点もあります。
アッペンツェラー
ハーブを混ぜた塩水にチーズを浸して作られる「Appenzeller(アッペンツェラー)」も、穴あきで有名なチーズです。
エメンタールに比べると小さいですが、特徴的な穴が見かけられます。スイスのアッペンツェル地方が産地で、ラベルには州の紋章である2本足で歩くクマの絵が描かれているのが特徴的です。
熟成期間で味が変化することから、熟成3ヶ月は銀ラベル、5ヶ月は金ラベル、8ヶ月ものは黒ラベルとなり、パッケージですぐに熟成期間が見分けられるようになっています。
チーズの穴ができる要因
チーズの穴は眼に例えて「チーズアイ」と呼ばれます。そして、チーズアイができる要因として、最近では主に2つの説が有力とされています。
プロピオン酸の炭酸ガスが関係している?!
エメンタールは、温めたミルクに乳酸菌を加え、その後にレンネット(凝乳酵素)とプロピオン酸菌を加えて作ります。プロピオン酸のバクテリアを利用する場合、長期間に渡って熟成をする際に炭酸ガスが発生し、気泡が固まってチーズアイができる、というのが1つ目の仮説です。
干し草の微粒子が関係している?!
2つ目の仮説は、乳しぼりの際に、容器や牛乳に入り込んだ干し草の微粒子を核として、ガス溜まりができるというものです。しかし、最近ではチーズ製造の衛生面が上がり、干し草の微粒子が容器や牛乳に入り込むことが減ったため、チーズアイも減っていると言われています。
まとめ
いかがでしたか?どちらの仮説ともに、チーズを作る際の発酵時に出てくるガスが、チーズアイの要因と言われていますね。どこに穴ができるか、何を核にするのかは、職人さんの動きやバクテリアの気分次第ですね。
将来的に発酵時のガスを制御して、一定の大きさや間隔で穴を空けられることができたら凄いですね。とはいえ野菜などと同じく、自然にできた形状や、伝統的な作り方を楽しみたい気もします。