11月の第3木曜日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日です。もちろん、フランスでもお祭り騒ぎになりますが、日本でも一年で最もワインが飲まれるほど盛り上がります。普段ワインを飲まない人も、飲んでみようという気になるのがこの時期ではないでしょうか。
そんなボジョレー・ヌーヴォーにはガメイという黒ブドウの品種が使用されています。今回はそのガメイの特徴や多く栽培されているボジョレー地区についてご紹介します。
ガメイとボジョレー・ヌーヴォー
ボジョレー・ヌーボーは、フランスのブルゴーニュ地方最南部にあるボジョレー地方の新酒のことです。ボジョレー・ヌーボーは、ワイン法でガメイしか使用が認められていません。
ブドウを二酸化炭素が充満したタンクに入れて蓋をした後、2~3日浸漬することにより色や香りを抽出してワインに仕上げる「マセラシオン・カルボニック法(MC法)」で造られています。
このためにイチゴキャンディーやバナナなどの独特な香りを持つワインが生まれます。ちなみにMC法で造られたワインはガメイが使われていなくても同じような風味を持つことが特徴的です。
一方で新酒ではないボジョレーにもガメイが使われています。MC法でつくられていないボジョレーはラズベリーやイチゴなどの果実味や、すみれやバラといった花の香りが特徴的なワインです。
同じブルゴーニュ地方の赤ワインは、ピノ・ノワールが使用されたものが多いのですが、それに比べてもっと軽快な味わいでミネラルや酸味と言ったエッジが強いことも特徴のひとつです。
それゆえに好き嫌いが別れることが多いようですが、ヌーボーをつくっていない最良の土地を持つ10個の村である「クリュ・デュ・ボジョレー」のワインを飲んだら、滑らかで良質なピノ・ノワールに思えるような上品な味わいに驚く人は多いようです。
その他のヌーボー(新酒)
フランスの新酒はボジョレー・ヌーボーしかないと思われがちですが、フランスでは、新酒のことを「ヴァン・ド・プリムール」と呼ばれ、実は20種類(AOC)の新酒がつくられています。
ボジョレーでは赤ワインとロゼワインのヌーボーがつくられていますが、例えばお隣のマコネ地区ではシャルドネを使った白の新酒が、もっと北のロワール地方のトゥーレーヌでは同じようにガメイが使用された赤ワインとロゼワインの新酒がつくられています。
また、ラングドック・ルーション地方にはピノ・ノワールが使用された新酒も。これは個人的にとても好きで、柔らかい果実味や土の香り、紅茶の香りなどを楽しむことができます。
好きだという人と、ちょっと苦手だという人が分かれるガメイを使ったワイン。お勧めはクリュ・デュ・ボジョレーの村であるムーラン・ア・ヴァンの「シャトー・デ・ジャック」です。
タンニンが少ないとは思えない重厚でグラマラス、さらにスパイシーな風味と味わい。バラやブラックベリーなどの熟した果実味を感じ、長い余韻はうっとりするほどです。ぜひヌーボーと一緒に飲み比べて楽しんでみてくださいね。