ワインは熟成と共に色が変化する!変化する理由と味の特徴は?おすすめ熟成ワインもご紹介

赤ワインや白ワイン、ロゼワインなど、ワインには「色」がつきものです。ワインはその種類によって、濃いガーネットだったり、淡いサーモンピンクだったり、琥珀色だったりと、それぞれが個性的な表情を見せます。

ブドウ品種や産地特性、醸造方法にもよりますが、色や味わいが大きく左右されるのは、熟成によるところが大きいと言われています。

今回は、ワインが熟成とともに変化し、熟成の変化を判断できれば味わいの変化の判断も可能である、という点について詳細に迫ってみました。

ワインの熟成と色の関係

「ワインは生き物だ」と、ワイン通の多くの方は言いますが、それはワインが「熟成」するお酒だからとも考えられます。

ワイン醸造技術のひとつとして、赤ワインや白ワインの一部は樽熟成の後に瓶での熟成や、白ワインはステンレスタンクで熟成後に瓶内で…など、そのワインの個性や目指すスタイルによって、異なる熟成の工程が取り入れられます。

実は熟成環境や熟成期間によって、ワインの色は徐々に変化を遂げていきますが、特別な技法を取り入れていない限り、その色の変化はセオリー通りに進みます。

つまり、ワインの色を見ればどの程度熟成されていたのか、ということも判断できるようになるのです。

熟成によってなぜ色が変わるのか?

一般的に赤ワインの色の変化に関連しているのは、ワイン液中に含まれるアントシアニンというポリフェノール類の一種で、これらが空気中の酸素に触れることで、さまざまな成分と重合などを繰り返します。

さまざまな成分との反応によってアセトアルデヒドなどが生成され、それらがアントシアニン、タンニン前駆体と付加反応を起こし、色が安定化していきます。アントシアニンは、ブドウ果皮に多く含まれており、赤色や赤紫色の元となります。

熟成後6年~7年と経つと、アントシアニンがほとんど無くなると言われており、これによって褐色化、枯れたような色合いへ変化していく、と考えられています。

白ワインの場合、一般的には果皮や種子を果汁と発酵させないため、赤ワインに比べると液中に含まれているポリフェノール類は少なくなります。となると熟成においては、ずっとキレイで透明な色なのかというと、そういうわけではなく、やはり白ワインも熟成するにつれて褐色化していきます。

赤ワインに含まれるポリフェノール類に比べ、白ワインに含まれるポリフェノールは酸化しやすい性質を持っていると言われており、無色であっても酸素にある程度触れていくと、黄色、赤色へと色調が変化していきます。

また、スキンコンタクトといった、果皮を一定時間漬け込む技法が白ワインでは採用されることがありますが、その程度によっても色調の変化のスピードが変わっていきます。

つまり、白ワインの場合は完全に酸素をシャットアウトできる環境であれば、比較的長く透明色を保つことができる、ということになります。

熟成による白ワインの色の変化と味の特徴

ここからは、熟成による色の変化と味の特徴について考えていきましょう。まずは、白ワインです。

白ワインの色の変化

一般的に樽熟成を経ていない白ワインの場合は、新しいものであればある程に透明感のあるグリーン色です。そして、徐々に落ち着いたイエローへと替わり、熟成を経るとゴールドとなります。

ここから更に酸化していくことで、トパーズやアンバーといった色合いに変化していきます。一方、樽熟成を経た濃い色の白ワインの場合は、熟成まではゴールドが濃くなっていく感じで、酸化することで琥珀色へと変化していくようです。

白ワインの色と味わいの特徴

白ワインの色と、その味わいの特徴についてを見ていきましょう。

グリーンなど、若い色合いの白ワイン

まだ、酸化がほとんど進んでいないため、レモンやライム、グレープフルーツなどのフレッシュな風味を楽しめます。品種によっては、マスカット、グリーンアスパラ、タイムなどを感じられます。

ゴールド系の白ワイン

樽熟成を経ているもの、さらに熟成が進んだ白ワインの場合、パイナップル、マンゴー、白桃、パッションフルーツといった風味になりやすいようです。また、乾燥したイチジク、アプリコット、くるみといった風味も感じることができます。

熟成を経てトパーズになった白ワイン

熟成がある程度進み、色合いが濃くなった白ワインの場合、ゴールド系で感じたアプリコットや洋梨などが強くなり、黄桃のシロップ漬けなど、甘さを感じさせる味わいへと変わっていきます。素晴らしい熟成を経ると、白トリュフやシェリーのような味わいも楽しめます。

熟成によるロゼワインの色の変化と味の特徴

ロゼワインの場合、どういった方法で造られているのか、というところが熟成の色に大きく左右していきます。黒ブドウ主体で造ったものなのか、白ワインをブレンドして造っているものなのか、セニエをどこまでしているのか…など、その生産者の目指すゴールによって大きく変わります。

さらに、ロゼワインの場合は一般的には熟成されることは少なく、フレッシュでフルーティーな味わいを目指して造られています。

スパークリングワインなどではロゼワインのヴィンテージが存在していますが、これらはベースワインをブレンドしていたりするため、スティルワインのロゼとはまた違った雰囲気と考えた方が良いでしょう。

ロゼワインの熟成の色と味について

ロゼワインの場合、どれだけ赤ワインのようにポリフェノール量が多いかが、重要になります。タンニン量が比較的多いロゼワインであれば、ピンク色から褐色へと進む速度がやや遅くなる可能性があります。

その理由は、ポリフェノール類の成分が酸化から守ってくれるという部分があるからです。一方、白ワインとブレンドしているとか、薄く淡いロゼワインの場合は比較的早めにレンガ色、やや黄味がかった色へと変化していきます。

味わいに関しては、ややフレッシュな風味に酸化したシェリーのような印象を持つ味わいになります。

ジュラ地方やプロヴァンス地方などでは、敢えてロゼを熟成させることがありますが、一般的には赤ワインのフレッシュさ、果実感を強調したワインです。淡く、美しいピンク色や鮮やかな赤色、というものでなければ、酸化のニュアンスがあると思っていただくと良いでしょう。

熟成による赤ワインの色の変化と味の特徴

熟成の恩恵を受けるのは、白、ロゼよりも赤ワインに軍配が上がります。赤ワインは果皮と種子を一緒に果汁と醸すため、ワイン中のポリフェノール量がずば抜けて多く、これらが熟成によって色合い、風味などの変化に大きく関与していきます。

早速、その色合いと味の特徴についてを見ていきます。

ルビーや赤紫色の赤ワイン

まだ若く、フレッシュな印象を与える、淡いルビーや赤紫色の赤ワイン。淡いルビー色の場合、イチゴやザクロ、スモモといった、酸味のある赤系果実を思わせる味わいを楽しめます。

また、熟成を経ていない状態でありながらも、カベルネソーヴィニヨンなどの濃色の赤ワインの場合、アメリカンチェリーやカシス、ユーカリといった風味を感じさせることがい多いです。

オレンジ色の赤ワイン

やや熟成が進んでくると、色合いがややオレンジへと変化していきます。酸化が多少進んだため、丸みが徐々にできて口当たりがまろやかになっきています。ブラックベリーやジャム、ドライプルーンなど、比較的重厚感のあるベリー系の味わいに変化し、樽の使い方により、コーヒー、チョコレート、なめし革の雰囲気も楽しめるようになってきます。

レンガ色からガーネットへ

熟成がしっかりと進むと、アントシアニン量も大分減少していき、青みが無くなり褐色へと進みます。この辺りから熟成をさせていくと、レンガ色のような色に近づきはじめ、「飲み頃」とされる、高級赤ワインのカテゴリに突入していきます。ブルーベリーやブラックベリーなどのニュアンスはより濃くなり、ラムレーズンや乾燥イチジク、西洋杉、ドライフラワーなど風味を感じられるようになります。

また、マディラやコニャック、腐葉土、紅茶など、若い頃には感じられない独特の香りも出てくることがあるので、試してみましょう。タンニンも重合し沈殿してくるので、タンニンも絶妙な丸さにおさまります。

おすすめの熟成ワイン

ここからは、おすすめの熟成ワインを赤・白・ロゼに分けて紹介していきましょう。

【赤ワイン】メゾン・シシェル

メゾン・シシェル
ボルドー1級シャトーの秘蔵... ポイヤック [2013]年 赤 750ml メゾン・シシェル (フランス・ワイン)
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ボルドーの中でも、最高品質のワインを多く生み出し続けているACポイヤックの赤ワイン。なんとこのワインは1級シャトーで栽培、醸造、樽熟成までを行ったワインでありながら、シシェル社が名を伏せて販売している、というかなりユニークなワインです。2013年ヴィンテージということで、熟成が足りなさ過ぎず、そしてし過ぎずという、ほど良い丸みのあるボルドースタイルのワインとなっています。色合いは、紫がかったルビーで、カシスや黒胡椒、タバコ、ヴァニラなどの複雑性のある味わいが楽しめます。

【白ワイン】ボノー・デュ・マルトレイ

ボノー・デュ・マルトレイ
2000年コルトン・シャルルマーニュ グラン・クリュ / ボノー・デュ・マルトレイ / フランス ブルゴーニュ / 750ml / 白ワイン
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白ワインを熟成させたおすすめアイテムとなれば、ブルゴーニュ地方は外せません。中でも、あのコルトン・シャルルマーニュ・グラン・クリュというAOCを持つ、「ボノー・デュ・マルトレイ」は格別の存在です。極上のシャルドネを使用しているのはもちろん、なんと2000年というビッグヴィンテージであることから、希少価値が高く、売り切れ必至のワインです。長期間熟成させられているのにも関わらず、トロピカルフルーツやライムなどのフレッシュさを残し、ヘーゼルナッツ、ヴァニラといった樽由来の立地な風味も楽しめる、まさに奇跡の1本。まだまだ寝かせられる、とも言われている素晴らしい1本です。

【ロゼワイン】シャトー シモーヌパレット ロゼ

ラック・コーポレーション
パレット ロゼ 2013 750ml [フランス/ロゼワイン/辛口/ミディアムボディ/1本]
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名門シャトー シモーヌが醸す、最高峰のロゼワインです。ロゼと言いながらも、しっかりと濃い赤色であり、3分の1をセニエ、そして残りをダイレクトプレスで仕上げています。フローラルかるフルーティーでありながらも、赤ワインに近しいしっかりとした骨格があるので、熟成に耐えられている希有なロゼワインと言ってよいでしょう。ヴィンテージも2013年とロゼにしては大変珍しい熟成期間を経ており、アルコール度数も13%とフルボディ的な印象。今までのロゼの印象が180度変わる、最強のロゼワインです。

まとめ

今回は、ワインの熟成で変化する色や、それの味わいの特徴などについてをお伝えしてきました。近頃では、早飲みのワインが人気ですが、やはりワインの醍醐味は熟成にあることも忘れてはなりません。1年目のワインと5年目・10年目のワインは全く別ものであり、その全てに個性があります。ワインの面白さをより深めるため、これを機会に熟成についても考えてみてはいかがでしょうか。

山梨県生まれの東京暮らし。フリーライター。音楽、ラジオ、ファッション、グルメなどさまざまなフィールドで活動中。甲州ワインに日常的に触れていたことで、知らぬ間にワイン通に…。ワインのちょっとした知識を小出しに紹介していきます。

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