生まれ年ワインの出来を簡単チェック!あの人の生まれ年は当たり年?ヴィンテージワインとは?

「君の生まれ年のワインだよ」。素敵なオジさまが、このセリフとともに絶世の美女にワインをプレゼント。こんなシーンを映画やドラマ、漫画の中などで見たことがある人は多いでしょう。

実はこのオジさん、適当なことを言っているわけではなく、ワイン自体は数十年以上熟成が可能なお酒なため、数十年前のワインも美味しく飲むことができるのです。

となると、皆さん。自分の生まれ年のワインを飲んでみたくなりませんか?今回は自分の生まれ年のワイン、そしてあの人の生まれ年のワインを簡単にチェックできるようにまとめてみました。ぜひ、楽しみながらチェックしてみてください。

ヴィンテージワインとは?

生まれ年のワインとなると、そのほとんどはヴィンテージワインとなります。日本の法律で20歳以下はお酒が飲めないため、生まれ年のワイン(飲む前提であれば)となると、少なくとも20年以上前のワインが対象となります。

20年以上前ということになれば、そのワインは立派なヴィンテージワインです。この、「ヴィンテージ」なのですが、ワインの場合は“そのワインを醸造した年”ということで使用されます。しかし、そうなると本年に醸されたワインも、ヴィンテージワインとなってしまいます。

そもそもヴィンテージという言葉は、ファッションなどの世界でも使用されており、“年代もの”という意味を持ちます。ただし、古ければ良いわけではなく、その長い年月を経た結果、ほど良く味わいが生まれたものを指しているようです。

さらに、ヴィンテージに近い言葉でアンティークというものがありますが、詳しく調べてみると、「ヴィンテージ=20年~30年以上年数を経たもの」、「アンティーク=100年以上年数を経たもの」と分けられています。

ワインには100年以上熟成できるものもありますが、一般的に考えると、20年~70年ほど前の良い状態で保存されている熟成ワインを、ビンテージワインと指していると考えてよいのではないでしょうか。

もちろん、どこまでがヴィンテージワインなのか、ピークを過ぎたらもうヴィンテージワインとは呼べないのか、人によって意見も別れるところです。この件については、別の機会に詳しく掘り下げてみましょう。

当たり年とは?

ここで言うヴィンテージの定義をお伝えできたところで、次に定義しておきたいのが、当たり年です。生まれ年のワイン、〇〇年のヴィンテージワインというワインの探し方をする場合に必ずチェックしたいのが、「当たり年か否か」という点です。

あの人の生まれ年は当たり年なのか?自分の生まれ年は当たり年なのか?など、ワイン好きの方たちは、そのワインが製造された年の状況を非常に気にします。

そもそも当たり年の考え方も、人によって違ってくる可能性があるようですが、平たくいえば、「品質の高いブドウが栽培できた年」と、考えて良さそうです。ワインの原料となるのはブドウですので、使用されるブドウの品質がそのワインの味わいを大きく左右します。

仮に低質なブドウであっても、それなりに醸造でカバーできるようですが、ワインはさほど添加物を使用しませんし(安全に造るために多少は使っていますが)、逆に言うとブドウの品質が飛び抜けて良ければ余計なことはせず、シンプルな醸造で最高品質のワインだって生み出すことができるわけです。

そのためワイン用ブドウにとって、最高の気候条件が揃った年は、良いブドウが収穫できるためその年が、「当たり年」と呼ばれているわけです。

私、あの人の生まれ年のワインをチェックするには!?

そうなると、自分の生まれ年のワインは当たり年だったのか、ちょっと気になってきませんか?もちろん、大切なあの人の生まれ年のワインはどうだったのかも。

ワイン商でもしていない限り、1年ずつヴィンテージワインを飲み比べることは非現実的ですので、そんな時は、「ヴィンテージチャート」と呼ばれる表で確認していきます。

ヴィンテージチャートは有名海外ワインサイトはもちろん、日本のワインサイト、ワインファンのブログサイトに用意されています。家ワインにもありますよ。

ヴィンテージチャート

しかし前述した通り、その年が当たり年かどうかは、案外その人たちの判断によるところもあるようで、Aさんは1984年が素晴らしいといえば、Bさんはイマイチだった…ということもよくあります。

とはいえ、本当の当たり年などはある程度共通していますし、よほど厳しい個人的な基準を持たれている方のヴィンテージチャートと比較しない限り、多少はシンクロする部分はあるでしょう。あくまで、“参考として”確認しておくのが良いでしょう。

ヴィンテージチャートにあまり掲載されないワインとは?

ヴィンテージチャートを覗いた、またはお店の人に当たり年について聞いたことがある方であれば、とあるワインに偏っているのではないか?と、思われたかもしれません。

まず、新世界(アメリカ、オーストラリア、チリなど…)のワインは、まだまだ歴史が浅く、市場に出回ってる数が少ないため、近年のヴィンテージチャートしか無いという部分があります。

もちろん、詳しく調べればいろいろとあるのですが、フランスほどの量と産地の区別化をまだできていないことが現状です。今後、当然各国のヴィンテージチャートは増加していくでしょうが、今のところはまだ、完全ではないと考えられます。

そして、白ワイン。ブルゴーニュの特別な白ワインであれば別ですが、ほとんどの白ワインは醸造してから3年以内に消費されるものです。そもそも、熟成させるための成分量が少なく、それ目的で造らないと数年で酸化してしまいます。

1980年が白ワインにとって最高の年であっても、今から40年近く前の白ワインで耐えうるものは、本当に一握りであり、一般化しにくい部分があります。無いわけではありませんが、非常に量は少ないと考えられます。

ただし、スパークリングワインはヴィンテージチャートに掲載されます。瓶内二次発酵など、長く熟成させることを目的として造られているものもあるため、その製造方法の違いから数十年以上の熟成に耐えうる素晴らしいものが多く存在しているからです。

ちなみに、ボジョレー・ヌーヴォーなどの新酒に関していえば、当たり年だったか否かの指標となる存在にはなりますが、ヴィンテージワインではないので、ヴィンテージチャートとはまた別の話になってくるでしょう。

ヴィンテージチャートのワインとは?

ヴィンテージチャートに表記される多くのワインは、フランスのワイン銘醸地です。ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、コート・デュ・ローヌ、アルザス、ロワールなど、ワイン好きであれば一度は聞いたり飲んだりしたことがある銘醸地ばかりです。

さらにボルドーの場合、メドックの1級シャトーに位置する、「ポイヤック」や「サンテステーフ」、シャトー・ディケムのある貴腐ワインの大産地「ソーテルヌ」、右岸の「ポムロール」「サン・テミリオン」など細分化されていきます。

ブルゴーニュ地方の場合、赤ワインだけではなく、白ワインも熟成させることができる造りを行っているため、双方に当たり年をヴィンテージチャートで表記するところも多く見受けられます。

イタリア、スペイン、ドイツなど、各国にも銘醸地が多くあり、それぞれ当たり年のヴィンテージチャートは存在していますが、指標となりやすいのがフランスである、ということで多くのチャートはフランスベースになっています。

フランスワインの消費量が多い日本であれば、贈られる相手も分かりやすいのかもしれません。大切な方に生まれ年のワインをプレゼントするのであれば、より詳しく調べてみても良いでしょう。

当たり年のワインをちょっとだけ紹介

50年分くらいのヴィンテージワインの当たり年を全てここに記載すると、読みにくくなるだけなので、前述した家ワインのヴィンテージチャート(http://iewine.jp/vcfr)をご覧ください。

ただ、少しだけ当たり年と呼ばれているヴィンテージのワインを紹介してみます。ちなみに”生まれ年のワイン”ということで、20年前からスタートします。それ以降でも、素晴らしい当たり年があったのですが、その年に生まれた方はまだお酒が飲めない年齢ですので…。

1998年

この年のチャートを見ると、全体的に素晴らしいヴィンテージだったことが分かります。5月は晴天に恵まれ、日照量が多くブドウが良い状態に生育。収穫時に晴天が続いたという、素晴らしい年だったようです。ボルドー右岸、ローヌ、アルザスなどが特に素晴らしいヴィンテージのようです。

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1985年

この年も、フランス全土で高品質なブドウが収穫できた、素晴らしいヴィンテージでした。どのヴィンテージチャートも、全体的に安定した高得点をつけています。特に、ボルドーが長期熟成に向くワインを仕込むことができたヴィンテージだったようです。

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1976年

ブルゴーニュの評価の高いヴィンテージが、1976年。全体的に安定した品質だったようですが、アルザスやロワール、シャンパーニュといった冷涼地域の評価が非常に高いという、ユニークな年です。この年の生まれの方は40歳代ですので、美味しいワインをたくさん飲んでこられた方も多くいるでしょう。ぜひ、フランス北部のワインをプレゼントしてみてはいかがでしょうか。

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1969年

この年代のワイン自体、希少価値が高そうですが、ブルゴーニュにとってはある意味で伝説的なヴィンテージとなった年だったようです。まさに理想とした天候が1年を通じて続いたことで、最高のヴィンテージとなりました。一方、ボルドーは雨が多く降り、真逆の展開に。ちなみに、1969年のロマネ・コンティの価格を大手通販サイトで調べたところ、税込160万円でした…。

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1961年

ブルゴーニュの当たり年を紹介たので、せっかくなのでボルドー最高の当たり年と言われている、1961年も紹介します。この年は、ブルゴーニュ地方も良かったようですが、ボルドーの左岸が特に最高の出来映えだったことで知られるビッグヴィンテージです。戦後、最も素晴らしい当たり年と言われているのですから、ワインファンであれば一度は口にしてみたいものです。ただし、ここまで熟成が進んでいるワインですので、購入する場合は信頼できるワインショップから購入しないと…ピークが過ぎてしまっているかも、しれません。

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信頼できるワインショップ、ソムリエに質問すること!

今回は、生まれ年のワインやヴィンテージワインについて解説しました。自分の生まれた年のワインを貰える、というのはなんとも嬉しいのですが、飲んだらピークを過ぎていた…となると、複雑な気持ちになってしまうものです。

ヴィンテージワイン自体、最低でも20年以上は経過しているため、それぞれに飲み頃を向かえている状態で保管されていることが重要です。

ネット通販で適当に購入!というのも良いですが、できれば信頼できるソムリエやワインショップ、またはワイン講師の方などに相談して購入されることをおすすめします。

また、プレゼントした方がもらってすぐに飲むとは限りません。正しい保管方法などもしっかりとお伝えできるようにしておきましょう。

自分の生まれ年のワインを貰う機会なんて、そう多くないこと。ぜひ、相手の喜ぶ顔を想像しながら、じっくりと選んでみてください。

山梨県生まれの東京暮らし。フリーライター。音楽、ラジオ、ファッション、グルメなどさまざまなフィールドで活動中。甲州ワインに日常的に触れていたことで、知らぬ間にワイン通に…。ワインのちょっとした知識を小出しに紹介していきます。

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