6月28日、メルシャン株式会社(以下、メルシャン)は、日本ワインブランド「シャトー・メルシャン」のポートフォリオを刷新し、2018年秋以降順次発売すると発表しました。
過去10年間で1.5倍になった日本ワイン市場は今後も拡大していくとみられることから、メルシャンは自社管理畑を中心として主要栽培地に醸造及び、お客様接点を持つ3つのワイナリーを構築するとともに、海外での情報発信、インバウンド対応、CSV活動(※)、そして消費者との直接対話を強化していく方針を打ち出しています。
今回は、日本ワインを牽引するブランド「シャトー・メルシャン」の動向について、詳しくレポート致します。
※ Creating Shared Value = 社会と共有できる価値の創造
もくじ
3つのワイナリー構想
出典:https://club.chateaumercian.com/
メルシャンは山梨県甲州市にある「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー」に加え、自社管理畑を中心として主要栽培地がある長野県に、2018年秋には「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー」(塩尻市)を、2019年秋には「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」(上田市)をオープンします。
既存の「勝沼ワイナリー」は設備公開場所を拡大して、6月より見学ツアーを刷新し、“おもてなし”に重点を置いたツアー内容に変更しました。出典:https://club.chateaumercian.com/
また、日本ワインの品質を世界に知らしめた名醸地にオープンする「桔梗ヶ原ワイナリー」は、ワイン造りに特化するガレージワイナリーに、上田市初のワイナリーとなる「椀子ワイナリー」は“地域との共生”をコンセプトにしたブティックワイナリーを目指します。
「シャトー・メルシャン」新ポートフォリオについて
「シャトー・メルシャン」の新ポートフォリオは、上記の3つのワイナリーから生まれる最高峰の「アイコン」シリーズを中心に、山梨県、長野県、福島県、秋田県にある自社栽培・契約栽培の畑それぞれの「産地」を訴求する「テロワール」シリーズ、和食にも合い「日本ワイン」を気軽に日常に取り入れてもらうための「クオリティ」シリーズという、3つのシリーズに刷新しました。
「アイコン」シリーズ(5品)
世界のトップクラスの産地から生まれる各ワイナリーの最高峰ワイン。
「シャトー・メルシャン 城の平 オルトゥス」(勝沼ワイナリー)
1984年に開園した自社管理畑「城の平ヴィンヤード」のブドウから造られます。「オルトゥス」とはラテン語で「起源」などを意味し、シャトー・メルシャンのワイン造りのまさに夢の起源、原点、という想いが込められています。
「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー」(桔梗ヶ原ワイナリー)
「シグナチャー」は「サイン」を意味します。醸造家がサインを入れるほど、情熱と想いをかけた高品質なワインです。
「シャトー・メルシャン 椀子 オムニス」(椀子ワイナリー)
「オムニス」はラテン語で「全て」を意味します。2003年に開園した「椀子ヴィンヤード」のテロワール全てを表現したワインです。
この他に、長野県北信地区千曲川の左岸と右岸のブドウをそれぞれ原料とした「シャトー・メルシャン 北信左岸シャルドネ リヴァリス」、「シャトー・メルシャン 北信右岸シャルドネ リヴァリス」の2種があります。
「リヴァリス」は川を意味し、千曲川を挟んだ左岸と右岸の両方が競争し合いながら、ワインの質を高めてゆくことに由来し、“ライバル”の意味合いも含まれています。
「テロワール」シリーズ(22品)
選抜厳選した産地の多様性を表現するワイン。
「シャトー・メルシャン 玉諸甲州きいろ香」
笛吹川の右岸に位置する甲府市「玉諸地区」の甲州(=ブドウ品種)から造られる白ワイン。メルシャンの個性がひかる、世界的にも評価の高いワインです。
「シャトー・メルシャン 穂坂マスカット・ベーリーA」
山梨県韮崎市の穂坂地区は標高450〜550mの南アルプスを望む丘陵地帯。昼夜の温度差が大きいため、程よい酸の残るマスカット・ベーリーAが育ちます。
この他に、「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー」、エリア限定発売の「シャトー・メルシャン 安曇野シャルドネ」など全22品がラインアップ。
「クオリティ」シリーズ(5品)
圧倒的なコストパフォーマンスで日常に日本ワインのおいしさをお届けするワイン。
「シャトー・メルシャン 藍茜」
しっかりとしたボディのメルローと、滑らかなテクスチャーに華やかな香りのマスカット・ベーリーAを主体にバランスよくブレンドした赤ワイン。
この他に、ロゼワインの「シャトー・メルシャン ももいろ」や「シャトー・メルシャン 日本のあわ 甲州&シャルドネ」など全5品。
海外での活動&インバウンド対応
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メルシャンは輸出全体を牽引する香港をアジア最重要市場とし、香港から日本ワインの情報発信を強化していくと発表しました。世界中から人々が集まる香港では今、シャトー・メルシャンが注目されており、香港の有名ホテル「ザ・ペニンシュラ」でも採用されることが決まったそうです。
また、マスター・オブ・ワインの大橋健一氏を中心に、世界で活躍するワインの有識者の協力を得て、グローバル視点でブランドの魅力が端的に伝わるエチケットデザインを導入しました。「アイコン」シリーズの一部のワインのボトルは、世界のトップクラスワインのごとく重厚感のあるものになりました。
最後に
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メルシャンはポートフォリオを刷新し、各産地の訴求を強化することで各産地と共生し、地域を活性化するとともに、日本ワインの価値向上を図ることを大義としています。生産者・地域・行政と一体となった取り組みは、結果的に農家を支援し、高品質なブドウ栽培に繋がるため、シャトー・メルシャンのCSV活動は今後ますます進化していくでしょう。
尚、シャトー・メルシャンのクラブサイトでは、そういった活動をはじめ、シャトー・メルシャンと日本ワインの魅力、造り手との交流企画など様々な情報が発信されています。是非チェックしてみて下さい。
2018年9月にオープンする桔梗ヶ原ワイナリーは、秋に公開される映画「ウスケボーイズ」の撮影にも使用されているそうです。日本ワインのワイン造りを映画で観ると、より知識・興味が深まるかもしれませんね。