近年の健康ブームで、ワインの健康効果について耳にすることが増えてきていますよね。実は「何となく良い」のではなく、ちゃんと研究されていく中で身体にどんな影響があるのか分かってきているのです。
ワインの健康効果については、いわゆるフレンチ・パラドックスが有名ですが、今回は聴覚にも良い影響があるということについてまとめてみました。
そもそも、なぜワインが身体に良いの?
ワインにはアミノ酸類やミネラルなどの、身体を健康に維持するために必要な栄養分が多く含まれています。
飲み過ぎは当然ながら身体に毒ですが、適量を飲む場合は唾液と胃液の分泌を促し、食欲増進と消化促進に効果があります。また、身体を温めて大脳新皮質の動きを抑制するために、ストレス解消と質の良い睡眠の助けをしてくれます。さらに血小板凝集の抑制効果もあるため、血栓予防にもなります。
フレンチ・パラドックスって?
心疾患の原因は、喫煙や脂肪の多い食物だとされています。食事によって悪玉コレステロールが増えただけでは心疾患にはなりませんが、酸化することで動脈硬化を引き起こすのです。ワインに含まれるポリフェノールには活性酸素消去能力があるために、心疾患を予防することがわかっています。
ワインを日常的に飲むフランス人は、喫煙率が高く、飽和脂肪酸が多く含まれる食事をしているにも関わらず心疾患による死亡率が低いのです。これを、フレンチ・パラドックスと言います。
なお、赤ワインはポリフェノールの含有量は多いものの、白ワインに含まれるポリフェノールの方が悪玉コレステロールの抗酸化能力が高いとされており、血小板凝集抑制に関しても白ワインがより効果的だというデータもあります。
ワインと聴覚の関係
このように健康効果が謳われてきたワインですが、赤ワインは特に聴覚にも良い影響があるとされています。
アメリカにあるヘンリーフォード病院が、ワインに含まれるポリフェノールの一種である「レスベラトロール」には聴覚の衰えを抑制する効果があるという報告をしています。
健康なネズミにレスベラトロールを投与してから、一定期間大きな音に晒し聴覚機能にダメージを与えるという実験をしたところ、投与されていたネズミは投与されていないネズミに対して、聴力がより早く回復しました。
これにより難聴の一因となる酵素の量を、レスベラトロールが減らしていることが明らかになりました。
レスベラトロールは、ブドウがカビに侵されると自分を守るためにつくるファイトアレキシンという物質の一種。抗カビ活性があり、果皮に存在しています。血栓症を予防することもわかっており、1997年1月には著名な科学雑誌「サイエンス」でイリノイ大学(アメリカ)のジョン・ペズット博士らが、抗ガン作用があるとも発表しました。この研究は、副作用が少ない抗ガン剤に開発につながると期待されています。
認知予防にもなる
さらに同年3月、フランスのボルドー大学病院センターのジャン・マルク・オルゴゴゾ教授を中心とする研究グループが、一定量のワインを毎日飲み続けることで老人性痴呆症やアルツハイマー病の予防に効き目があるという疫学調査結果をまとめています。
2013年にはレディング大学(イギリス)が、週に1杯~3杯のシャンパンを飲むと、含まれているフェノール化合物の脳への作用が空間認知機能を向上させるため、認知症予防になると発表しています。
まとめ
いかがでしたか。聴覚への良い影響を始め、様々な健康効果が実証されているワイン。身体に良いからと言って、適量以上を摂取する生活を続けてしまうと、逆に身体を不健康にしてしまいかねません。お酒の適量は医学的に1日2単位までが良いとされています。これはワインに換算すると、750mlのワインボトル1/2本弱までです。
お酒で身体まで健康になるなんて儲けもの!と思った人は、適量を守りつつワインライフを楽しんでくださいね。
【参考文献】
・「2018 日本ソムリエ協会教本」一般社団法人日本ソムリエ協会
脳を老化させない食べ物
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・SAGE journals「Otolaryngology-Head and Neck Surgery」<Otolaryngology-Head and Neck Surgery>NCBI
・ブドウ由来レスベラトロール協会セミナー「レスベラトロールについて」