はじめに
皆さんはプロセスチーズ以外のチーズでは、どんなチーズを思いうかべますか? 日本人の思い浮かべるチーズといえば、チーズケーキに使う「クリームチーズ」でしょうか。もう1つ、誰でも知っている有名な美味しいチーズに「カマンベールチーズ」があります。
丸くて真っ白でケーキみたいなチーズ。私が子どもの頃、カマンベールチーズは「白カビ」と言われて怯んだものの、食べるとモチモチと柔らかく、ミルキーで大好きになった思い出があります。
今回のコラムでは、フランスの「カマンベール・ド・ノルマンディー」について紹介しますね。
カマンベール・ド・ノルマンディーとは
フランス北西部ノルマンディー地方の白カビチーズ
原材料:牛乳(無殺菌)
熟成期間:21日 (※内16日間は製造エリア)
大きさ:250g
乳脂肪分:45%
この規定に当てはまるものが、カマンベール・ド・ノルマンディーと名乗れます。日本では1個¥1,900くらいで販売されていますね。
白カビ特有のマッシュルームのような香りに加えて、ミルクの甘い香りがします。食感はモチモチしていて弾力があり、芯はチョークのようでややポソポソ。熟成が進むと芯はなくなり、とろとろのクリーム状に変化します。
名前の由来はノルマンディー地方のカマンベール村。フランス革命が終わった後の時期に村の女性マリーアレルが造りました。カマンベール村にはマリーの銅像があり、可愛くて名物になっています。
このチーズは、ナポレオン3世が偏愛したというエピソードも加わりパリで大流行しました。ノルマンディーとパリは1850年に鉄道が開通し、柔らかいチーズは経木のパッケージに入れられて大量に輸送されるようになったのです。 今でもフランスチーズで最も有名で愛されているチーズです。
日本のカマンベールチーズ
日本の乳製品メーカーも、カマンベールチーズを作っています。1個100gの小型のカマンベールは\400弱のお手頃な価格です。カマンベール村のチーズとは何が違うのでしょう?
まず、大きく異なるのが加熱処理をしていることです。プロセスチーズのように一度溶かして乳化剤を加えるという工程を経ていないので「ナチュラルチーズ」と表記されますが、熟成変化することのない長持ちする加工食品です。
ちょうど食べ頃になったチーズを加熱するので、開けた時がいちばん美味しい状態なんです。まさにチーズの缶詰といったところでしょうか。
カマンベールチーズの食べ方
カマンベールチーズは外皮が固く、中が柔らかいので波刃のナイフで切ることをお勧めします。
いきなり2等分するのではなく、食べる分だけくさび形に切り取り、切り口にはアルミホイルを帯状にたたんだものを当てて切り口の乾燥と、中身がとろけだすのを防ぎましょう。
カマンベールチーズのおすすめの食べ方は、サラダにのせたり、バゲットサンドやクレープの具材に使用すると良いでしょう。溶かしてディップやチキンソテーのソースにすると料理全体がおだやかに仕上がります。
また、ノルマンディー地方の農産物、リンゴとの相性は抜群です。リンゴのいちょう切りにグラニュー糖を少量かけてレンジで加熱したお手軽コンポートを添えるとデザートに。
おわりに
チーズの背景にある歴史や文化を知ることで、チーズは何倍も、何十倍にも楽しくなります。次回のチーズコラムでも、楽しい裏話やチーズの扱い方など紹介したいと思っています。
美味しくて栄養価の高いチーズを、もっと普段の食生活に取り入れてくださいね!