はじめに
2000年を過ぎた頃から日本のワインは質・市場ともに急成長し、有名な大手のワイナリーや老舗ワイナリーのプレステージワインをはじめ、近年特に増えつつある、小規模ながらぶどうの生産からワインの醸造まで一括して行うブティックワイナリーのワインは大変な人気です。
そんな国産ワインの人気もさることながら、実は今、国産のナチュラルチーズの品質が非常に向上し、人気も急上昇しているのをご存知ですか?
そういう訳で、今回は国産のチーズ、特に小規模な酪農農家が作るナチュラルチーズについてご紹介したいと思います。
ちなみに写真のチーズは、北海道はANGE DE FROMAGEさんの「ganos soga ピノ・ノワール」。北海道余市町の「ドメーヌ・タカヒコ」で使用されたワインの搾りかすを表面にまぶしたフレッシュタイプのチーズです。
酪農農家によって作られるナチュラルチーズ
酪農農家のチーズ工房は、北海道を中心に南は沖縄まで、日本全国に点在しています。 フランスでは、酪農農家で作られるチーズを農家製(フェルミエ)チーズと呼んでいるのですが、日本各地の工房で作られているチーズもそれと似ています。
農家製チーズは搾乳後すぐに作られるので、とりわけ原料の乳の質がチーズの味にダイレクトに反映します。よって、生産者達は乳の質を上げるために、放牧地を厳選し、牛の餌となる栄養価の高い牧草を育てる努力を惜しみません。
また、家族経営のところも多く、チーズの製造工程は全て手作業というところがほとんどで、各々の生産量はとても少ないのが現状です。
ただ、伝統的な手法を守って作られるフランスの農家製(フェルミエ)チーズとは異なり、日本の生産者達は、形式にとらわれず果敢に新しい試みに挑戦しており、結果、同じ生産地であっても多種多様なチーズが作られています。
そもそも、ナチュラルチーズとは原材料の乳を乳酸菌や酵素の働きで発酵させて固めたものなので、味噌や納豆など、発酵食品を昔から食してきた日本人には意外となじみやすい食材なのかもしれません。
おわりに
日本の農家製チーズの味わいは、総じて海外のチーズに比べて塩味は控えめで、優しい味の物が多いように思います。ですから、チーズを食べ慣れていない方や、香りや味にクセのあるチーズは苦手、という方には大変おすすめです。
ちなみに私のお気に入りは、ハードタイプの熟成チーズをご飯にたっぷりとすりおろし、かつおぶし、醤油とまぜて作るおむすび。ワインのおつまみにもなりますよ。 是非お試し下さい。
写真1:北海道 ANGE DE FROMAGE『ganos soga ピノ・ノワール』
写真2:岩手県 多田自然農場 『早池峰うすゆきチーズ』
写真3:農家製チーズいろいろ