ココ・シャネルが愛した、ワインと美食のフランス南西部バスク地方

はじめに

フランス南西部とスペインの北部にまたがるバスク地方。大西洋に面し温暖な気候に恵まれたピレネーの裾野に広がるこの地では山バスク・海バスクと言われるほど山の魅力・海の魅力それぞれを持ち合わせたとても素敵な場所です。

また、バスク地方では独自の言語“バスク語”が使われ独特な文化や料理、伝統が今も守られています。

今回はそんなバスク地方の海バスクについてご紹介させて頂きます。

海辺のリゾート地ビアリッツ

海バスクを代表する洗練された海辺のリゾート地ビアリッツは、王侯貴族の休暇を過ごす場として発展し、高級リゾート地としてヴァカンスを過ごす人で賑わいます。

また、ココ・シャネルもこよなく愛した場所といわれ、この地でブテイックを開いた事でも知られています。そして、サーフィンの発祥地としても知られ、世界大会が開催されるなど世界中からサーファーが集まる地でもあります。

ビアリッツのサーフポイント“コート・デ・バスク”から階段を100段登ったところにある立ち飲みバー「Les 100 marches」...目の前に広がる大西洋を眺めながらの一杯は至福のひとときです。

バスクと言えばタパス

バスクではタパスと呼ばれる小皿料理を楽しみながら立ち飲みスタイルで飲めるバルが大人気です。

大盛況の店内では、たまたま隣に居合わせた人とも話しながらわいわい飲めるのも醍醐味です。また、1杯飲んだら近くのバルへお店をはしごしながらバル巡りを楽しんだりすることもあります。

スライスしたバケットに様々な具材をのせた数種類の大皿から好きな物をチョイスしながらいただきます。アンチョビや烏賊のフリット、マッシュルームのタパスなど、どれも美味しそうで何を食べようか迷ってしまいますが、好きなものを一口サイズで頂けるのもタパスの魅力です。 バイヨンヌは生ハムも有名でトウモロコシで飼育された特別な豚の腿肉は口に入れた瞬間に濃厚な味と香りが広がります。特産品ともなっている生ハムは必ずオーダーしたい一皿です。

また、ギンディージャという青唐辛子のピクルスもバスク地方の定番フードでほどよい辛みと酸味がクセになります。そのままおつまみとしてつまんだり、生ハムやアンチョビを巻きつけて食べたりとタパスの一品としても欠かせない存在です。

ピレネー地区のワイン

出典:https://flatiron-wines.com/

そんなバスク地方のワインと言えば、フランス最南端のAOC“イルレギー”があります。イルレギーとは村名でバスク地方の中心に位置し、急な斜面段丘に畑が広がりタイプは赤・白・ロゼが作られ、赤ではカベルネ・フラン、タナを主体とし、白では、グロ・マンサン、プテイ・マンサン、グールビュから作られています。

また、ピレネー地区のAOCでは、熟成能力を持つマディランは力強いタナを主体に作られ、同一生産地域の白タイプはパシュラン・デユ・ヴィク・ビルがあります。

ジュランソンでは甘口の白ワインが造られるなど、この地区はピレネー山脈の麓に位置し大西洋からの温暖な気候で自然条件にも恵まれています。スペインとの国境のすぐそばと言う事もありスペインの影響も受けており、土地固有の品種も多く個性豊かなワインが生み出されています。

バスクリネン

バスクリネンと呼ばれる伝統的な布製品も有名です。古くからこの地で作られ使われてきた布類で、デザインはシンプルでカラフルなストライプが目を惹きます。

伝統的な柄はバスクの7つの県を表した7本線のもので、赤・紺・緑などのストライプ柄。最近ではモダンで自由なデザインやビビッドカラーのものまでありテーブルがとても華やぎます。

元々は家畜の日よけ・虫除けの為に織られた事が始まりで、丈夫で地厚の生地にシンプルなデザインなのでとても使いやすいです。

おわりに

私はフランスの中でどこが一番好きな場所ですか?と聞かれたら真っ先にバスク地方が頭に浮かぶほど大好きな場所です。

バスク地方の個性豊かな郷土料理や文化、そして青く輝く美しい大西洋の海岸線はこの地独特の空気感を生み出し多くの観光客を魅了します。

タパス料理はいろんな種類をつまみながら楽しめるのでホームパーティーなどおもてなしにも大活躍するメニューのひとつです。また気軽に簡単にできるので、ワインのちょっとしたおつまみにも。 タパス料理を並べ、家バル楽しみませんか?

東京都在住。主人の海外赴任によりフランス・パリへ移住。そこで、フランスワインやフランス家庭料理・地方料理を学ぶ。フランスワイン10大産地を巡り知識を深め、日本に帰国後、ワインエキスパート、チーズプロフェッショナルを取得。おもてなし料理を得意とし、家ワインを楽しんでいます。

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