はじめに
一昔前(約40年ほど前)まで、ワインの栓といえばコルク栓しかありませんでした。しかし、最近ではコルクの他に、合成コルクや圧搾コルク、スクリューキャップ、それからヴィノ・ロックと言われるガラス栓も見かけるようになりました。
では、理想的なワイン栓はいったいどれでしょう?それぞれの特徴を簡単にお伝えしたいと思います。
やっぱり天然コルク?
コルクはコルク樫の樹皮から作られています。コルク細胞の内部には空気が含まれているので、圧縮することができ、弾力性があります。また、水分を通さない性質でありながら、微量の酸素を透過させることができるので、長期にわたってワインの成長と熟成のための理想的な状態を保つことができ、ボトルの口栓として大変適しています。 ただ、天然素材の為、製品にばらつきがあり、汚染されたコルクを使用したことによって、ワインにカビ臭い匂いがうつってしまう(Bouchonneブショネと言います)ことがあります。
ブショネのワインにあたる確率は案外高く、コルク栓を使ったワインの2〜5%はブショネと言われています。
合成コルク、圧搾コルクの違いは?
合成コルクはプラスチック製、圧搾コルクはワイン栓を抜いたあとのコルク屑を粒状に粉砕し、接着剤を混ぜ合わせて作られたものです。100%天然のコルク栓に比べて安価なので、低価格帯のワインに使用されていることが多いようです。
スクリューキャップは安ワインに使用されている?
コルク栓の次に多く使用されているのがスクリューキャップです。以前は「安ワイン=スクリューキャップ」というイメージがありましたが、今ではコルク栓によるブショネのリスクを恐れて、多くの生産者がスクリューキャップを使用するようになりました。
特に、オーストラリアとニュージーランドでの使用率が群を抜いており、最高級クラスのワインでもスクリューキャップが使用されています。
まだまだ珍しいガラス栓「ヴィノ・ロック」
ドイツワインやオーストリアワインで最近見かけるようになったガラス栓。スクリューキャップ同様、手で簡単に開けることができます。製品化されてからまだ間もないため、ヴィノ・ロックのワインを長期熟成した場合、どのようにワインが変化するのかはまだ解明されていません。
さいごに
それぞれのワイン栓には一長一短があるので、理想的なワイン栓を1つ選ぶのはなかなか難しいと思います。
現在市場に出回るワインの大半は、長期熟成させるタイプのワインではなく、「購入してすぐに飲んで美味しいワイン」として作られているので、スクリューキャップや合成コルクが理想的なのかもしれません。
ただ、コルク栓を開けるということ、とりわけソムリエナイフで開ける行為が、ワインを飲む楽しみのひとつであると考える人も多いようです。とすると、今のところはやはりコルク栓に軍配があがるかもしれませんね。