食前酒、食後酒にオススメのポートワインやシェリーってどんなワイン?

はじめに

シェリー、ポート、マディラ…気になっているけれど飲む機会がなかなかなくて、という方も多いと思います。 今日は、これらの酒精強化ワイン(Fortified wine)について紹介したいと思います。一般的なワインとどこが違うのでしょうか?

酒精強化ワインとは

ワインを醸造する過程で、ブランデーや度数の高いアルコールを添加し、発酵をストップさせたワインを酒精強化ワインと言います。アルコール度数が15〜22度程あるので、一般的なワインに比べて保存が容易です。

代表的なものが前述したスペインのシェリー、ポルトガルのポートワイン、マディラ。これらは3大酒精強化ワインと言われています。その他にはイタリアのマルサラも有名ですし、フランスでも多種造られています。

酒精強化ワインは、シャンパーニュ同様、特別なものをのぞいて複数年のワインをブレンドして作られます。また、アルコール度数が高いこともあって、味わいはワインに比べて濃厚で、バランスが良く安定しています。色は赤、白、味わいは甘口から辛口まで様々です。

もともと、ワインの大消費国イギリスはボルドーワインを大量に輸入していましたが、18世紀にフランスとの関係が悪化したため、フランスに代わって、温暖なスペインやポルトガルからワインを輸入しようとした時に、ワインが劣化しないようアルコールを添加したのが始まりと言われています。

シェリー

イベリア半島最南端のヘレス・デ・ラ・フロンテラの町とその周辺地区で産出されます。

原料となるぶどうは白ぶどうのみで、発酵後、できたての若いワインと既に熟成しつつある古いワインを混ぜながら熟成させるユニークな方法(ソレラ方式という)で造られます。少なくとも3年間は熟成され、出来上ったワインにアルコールが添加されます。

味わいは辛口でスッキリしたものから極甘口まで、また、意図的に酸化させた強烈な香りのあるもの等、多岐にわたります。ライトでドライなフィノと、甘口で香りのよいクリーム・シェリーが人気です。

ポートワイン

糖分の残っている発酵中のぶどう果汁にブランデーを添加して造られるため、一般的にはコクのある甘口になります。生産されたポートワインは必ずポルトガルのオポルト港から出荷されなければならないというルールがあります。

黒ぶどう品種を原料に3年の樽熟成後出荷されるのがルビーポート、ルビーポートをさらに長い年月樽熟成させたものをトゥニーポート、白ぶどう品種を原料に3年〜5年熟成させたものをホワイトポートと言います。

マディラ

ポルトガルの首都リスボンから南西に1000キロの大西洋上に浮かぶマディラ島で生産されます。ポートワイン同様、発酵途中にブランデーを添加しますが、酒精強化のタイミングはぶどう品種によって異なるので、甘口から辛口まで存在します。 面白いのは、アルコール添加された後、樽に入れられて加熱処理されるということです。

その製法は、17世紀に赤道を横切る暑くて長い航海を終えると、積み込んでいたワインが美味しくなっていた、ということが発端と言われています。加熱処理することによって、上品な酸味と独特の風味が生まれます。

以上、かなり簡単にまとめてしまいましたが、実際には原料、生産地から生産方法まで多くの規定があり、それらの条件をクリアしたものだけがシェリーやポート、マディラと名乗ることができます。

まとめ

いずれの酒精強化ワインも食前酒や食後酒として是非試してみて下さい。

辛口、もしくは白はよく冷やして食前酒に、甘口もしくは赤は食後酒に常温で飲むのがおすすめです。

抜栓後も長期保存できるので少しずつ愉しめるのがいいですね。また、お料理やお菓子作りでも大活躍します。お肉料理のソースにワインの代わりに使用すると大変コクが出ますし、お菓子作りで使用すると香りの良い大人のデザートになりますよ。

次回はフランスの酒精強化ワインをご紹介したいと思います。

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ワインコーディネーター/ワインライター。
フランス留学後、ワイン専門店勤務を経て、ワインコーディネーターに。
飲み頃や旬を大切にワインとチーズの魅力を伝えるサロン「Wine Salon d’Ourse」主宰。飲食店や食のイベントプロデュースの他、ライターとしてワインやチーズに関する情報も発信している。
J.S.A.ソムリエ / C.P.A.チーズプロフェッショナル

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