酒呑みは甘い物を食べない、なんてセオリーは今はもう昔の話。「スイーツとワインのマリアージュ」という言葉も定着しつつある今日この頃。今回はスイーツもワインも大好き!な私の一番のお気に入りをご紹介します。
日本でチーズが誕生した年
埼玉県熊谷市の老舗和菓子屋「梅林堂」に、一口で私を虜にさせた至福のチーズ饅頭があります。ちょっと不思議な「明治8年」という名前は、日本で初めてチーズが誕生した年にちなんでつけられたとか。饅頭でも、チーズケーキでもなく、チーズ誕生の年を命名。その拘りは一口で納得させられます。
コロンと可愛らしい見た目に反し、なめらかでねっとり重めのテクスチャーと、予想を大幅に裏切るリッチで濃厚なインパクト。チーズをアレンジした洋風和菓子とは明らかに一線を画する、クリームチーズの濃厚な味わいが口いっぱいに広がります。とはいえ、チーズが主張しすぎることは決してありません。
濃厚さを爽やかに引き締めるドライフルーツと、ミルク風味のしっとりとした生地が三位一体となり、得も言われぬ絶妙なハーモニーにうっとり。この素晴らしい余韻をお茶で流してしまうのはもったいないので、ワインで合わせてみましょう。
チーズとワインは、互いに香りや味を高め合う定番の組み合わせです。チーズケーキと呼びたくなるチーズ饅頭「明治8年」とワインのマリアージュであれば間違いありません。「明治8年」は冷蔵庫でよく冷やして、できればちょっとコクのある白ワインといっしょに召し上がれ。
合わせるワイン
MARQOUIS DE PENNAUTIER (マルキ・ド・ペノティエ・シャルドネ)
[分類]白(辛口)
[生産]フランス / ラングドック・ルーション
[品種]シャルドネ
上品な樽香とバニラがしっとりきた後で、パイナップルやハチミツのような甘い香りがふわり。深く洗練された味わいで、夏の太陽がキラキラ~ではなく秋の夜長が似合いそうなニュアンスです。
モダンチーズ饅頭「明治8年」と合わせると、ワインに潜む青い柑橘系の酸味とクリームチーズの酸味が、ゆっくりしっとり綺麗に溶け込んでいくのを楽しめます。
最後はかすかに大人のほろ苦さが残り、もう一口食べたくなります。一日頑張った自分へのご褒美に、おやすみ前の優雅な大人時間をのんびりお楽しみください。