チーズの真珠と称される季節限定のチーズ「モン・ドール」とは?

はじめに

秋も深まり、赤ワインが美味しい季節になってきました。これから冬にむかうこの季節、ワイン愛好家なら気になりはじめるチーズがモン・ドールです。『黄金の山』という名をつけられたこの伝統チーズを今回はご紹介したいと思います。

モン・ドールとは

フランスとスイスの国境、ジュラ山脈にモン・ドールという山があり、その山一帯(正確には標高700m以上の村)で、牛の生乳から作られるウォッシュタイプのチーズです。

製造期間は8月15日から翌年の3月31日までで、熟成期間は最短で21日間。そのため、毎年日本では9月の末頃からチーズ専門店などの店頭に並び始め、4月中旬頃には姿を消してしまうという、めずらしい季節限定のチーズです。

製造過程で形を保つためにエピセア(エゾ松のようなトウヒ属の常緑針葉樹)の樹皮でまかれ、塩水で何度も洗われた後、熟成が進むとエピセアの薄板で作られた曲げわっぱに入れて出荷されます。このエピセアの香りがチーズに気品ある香りと独特の深い風味をもたらしています。

ちなみに、ジュラ山脈のスイス側でも同じチーズが作られおり、「ヴァシュラン・モン・ドール」と言います。フランスのモン・ドールに比べて生産量は非常に少なく、味わいはおだやかと言われています。

美味しい食べ方

ウォッシュタイプのチーズですが、熟成が進んでいないうちは香りもおだやかで、クセのない味わいです。熟成が進むと表皮にうねりがでてきて、触ると柔らかく、エピセアの薄板との淵にふんわりとカビが発生してちょっとびっくりするかもしれませんが、この頃からが食べごろです。

上面の皮を切り取り、中身を豪快にスプーンですくってパンや温野菜に付けて食べると、このチーズ本来の旨みを堪能できます。程よい塩味とエピセアの香り、とろりとしたなめらかな食感はまさに極上の味わいです。

もうひとつの食べ方はフォンドール(=フォンデュ+モン・ドール)。モン・ドールを半分くらい食べ終わったら、ニンニクのみじん切りと白ワイン、パン粉を少々入れて、曲げわっぱの容器に入れたまま(木がこげないようアルミホイルでカバーして)オーブンで10分ほど焼けば、熱々のチーズフォンデュの出来上がり!仕上げにお好みでコショウをふって、パンや茹でたジャガイモなどにたっぷりつけていただきます。

おわりに

ちょっとお値段の張るチーズではありますが、一般的に売られている1ホールの分量は約500gとしっかりありますので、ホームパーティーやクリスマスなどハレの日の御馳走チーズにいかがでしょうか?

尚、新聞紙で包んで冷蔵庫の野菜室で保存すれば家庭でも熟成させることができます。是非、早めに購入し、好みの食べ頃を見つけてお楽しみ下さい。

男の台所
フランス産 ウォッシュチーズモンドール AOC (蔵)400~500g
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ワインコーディネーター/ワインライター。
フランス留学後、ワイン専門店勤務を経て、ワインコーディネーターに。
飲み頃や旬を大切にワインとチーズの魅力を伝えるサロン「Wine Salon d’Ourse」主宰。飲食店や食のイベントプロデュースの他、ライターとしてワインやチーズに関する情報も発信している。
J.S.A.ソムリエ / C.P.A.チーズプロフェッショナル

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