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ワインは他の醸造酒(ビールや日本酒)と違い、ブドウ以外の原料を基本的に必要としません。その為、素晴らしいワインを造るためには、ブドウ果実の品質が優れていることが必要になってきます。
品質の良いブドウ果実を育てるためには、優れた土壌や太陽の熱量をたっぷり浴びる傾斜など、ここには書ききれないほどたくさんの条件があります。もともとポテンシャルの高い畑であることが重要なのは言うまでもありません。
同時に、造り手はそれぞれの場所で、よりクオリティの高いブドウを求めて工夫を施し、こだわりを持って日々努力を重ねています。造り手のこだわりのひとつにヴィエイユ・ヴィーニュ(=Vieilles Vignes)というものがありますが聞いたことはありますか?
ワインのラベルにも、時折この言葉を見かけます。今回は、このヴィエイユ・ヴィーニュについてお話しします。
ヴィエイユ・ヴィーニュ(Vieilles Vignes)とは?
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「ヴィエイユ・ヴィーニュ」とは、フランス語で「古いブドウの木」という意味です。
ブドウの樹というのは、約3年でワイン造りに使うことができるような実をつけます。そして、20年くらい経つとそれまで強かった木の樹勢が落ち着いてきます。
「樹勢」とは、樹木の成長する勢いのことで、これが強すぎると、果実よりも樹木に栄養が回ってしまい、果実の品質が下がってしまいます。つまり、20歳になると、やっと落ち着いて果実に優先的に栄養を送り込むようになるのです。
これ以後、ブドウの樹は丁寧に手入れをすれば、100年以上も生き続けますが、古木になればなるほど、果実の数は少なくなります。収量は低下しますが、少ない果実には、太陽の光が十分に当たり、また、栄養も十分に行き渡ります。(ただし、若木でも剪定などによって果実の調整はされています)そして、木の根が地中に深く張り巡らされることで、地中の水分、栄養分をたっぷり吸い上げます。
こうして、ヴィエイユ・ヴィーニュ=古いブドウの木に成る果実の品質は高くなり、結果的にワインの質も上がると言われます。ヴィエイユ・ヴィーニュにこだわりを強く持つ造り手がいるのも、こうした理由からです。
ただし、樹齢何年以上であればヴィエイユ・ヴィーニュという言葉を使用してよい、という法的な基準はないため、あくまでも、それぞれの造り手の判断になります。現状では、樹齢30~40年を超えると「ヴィエイユ・ヴィーニュ」と表示されるのが一般的です。
おわりに
いかがでしたか?
ワイン名の最後にVVと表示されていれば、それは、このヴィエイユ・ヴィーニュの略になります。
個人的に、ヴィエイユ・ヴィーニュ=古いブドウの木から出来上がるワインは、なんとも複雑味に富んだ深い味わいを感じますが、ヴィエイユ・ヴィーニュではなくても、素晴らしいワインはたくさんありますので、ひとつの情報として知っていただければと思います。