フランス・ボルドー地方、メドック地区のサン・ジュリアン村に位置する、格付第3級のシャトー・ラグランジュをご存知でしょうか。
シャトー・ラグランジュと日本の深い関係をご存知の方も、そうでない方も垂涎のラインナップとともに、シャトー副会長の椎名氏によるサントリー・セミナーの模様をレポートします。
隠れ家のような気品ある場所に招かれ、シャトー・ラグランジュのテイスティングセミナーに参加しました。
1983年にボルドーの地にアジアの日本企業が初めて経営参画し、荒れ果てた土地と廃墟同然のシャトーを再生するために力を注いだ椎名氏。
その爽やかな出で立ちは、数十年食い縛った時を感じさせない、笑顔の素敵なダンディな方です。そんな椎名氏から、シャトーが歩んできた歴史と、これから目指す指針を伺いました。
シャトー復活までの30年
シャトー・ラグランジュ経営の再興には、”フランスの流儀を守りながら、基盤を築いた30年”だと言います。
ヨーロッパ以外の国が初参画となるボルドーの地で、土地の気候や人々へのリスペクトを忘れずに、日本の心を根付かせる気遣いは、やはり日本企業らしいと感じます。
シャトー・ラグランジュのテロワールは、メドック格付第3級という不動の事実が証明していますが、経営者が変わるごとにテロワールは活かされるどころか、荒れ地に変わっってしまいました。ワインに深い味わいをもたらすには、やはり造り手の努力が不可欠なんですね。
タスキを繋ぐ役目と、これからの挑戦
環境に配慮した醸造と最先端技術、そして“気構えずに飲めるワイン”の供給を目指すオー・メドックへの挑戦。輝かしいグラン・ヴァン(偉大なワイン)はもちろんながら、消費者目線のボルドーブラン(ボルドー地方で造られる辛口白ワイン)や、カジュアルラインを提供することで、新たなシャトーの可能性が伺えます。まさに「復活劇の後には、革新がある。」ということですね。
ワインテイスティング
今回ご用意いただいたテイスティングワインは4種です。
・レ・ザルム・ド・ラグランジュ 2015
・ル・オー・メドック・ド・ラグランジュ 2013
・シャトー・ラグランジュ 2013
・シャトー・ラグランジュ 2011
今回は和食に洋のニュアンスを加えたディナーセミナーのため、食事に合うようなボルドーブランや、ヴィンテージをご用意下さいました。
ボルドーブランは、酵母による旨味や酸味がカニやエビなどの甲殻類にも合いやすく、個人的に私が好きなワインで嬉しいスタートです!
続く赤ワインは2013年。30年間で一番厳しいヴィンテージの気候状態の中でも、ギリギリまで収穫を待ち、バイブレーションと機械選果による粒選りのブドウから造られるワインは、マイナスイメージではなく、熟し爽やかなミントが香る、骨格のあるワインに仕上がっています。
カチっとした味わいの中にある瑞々しさは、カツオとも相性が良いですね。
2011年は雹や雨による難しい年でありながらも、深みのある色合いと、ツンとスパイスの豊かな香り。数年前に2011年は早飲みタイプと言われていたヴィンテージも、2017年の今は違う顔を持とうとしているのかもしれません。
セミナー終了後、椎名氏に「現地ではボルドーワインにどのようなチーズを合わせているのでしょう?」とお聞きしました。椎名氏オススメのマリアージュは、ピレネー地方の羊とのマリアージュのようです!
オッソー・イラティなど、旨味の強いチーズに味わいのしっかりしたボルドーワインはとても合うようです。
最後に
自然がつくり上げた良質の土地だけでは、ブドウはできません。良い造り手がいても、そこにブドウが無ければワインはできません。健全なブドウが育ち、造り手の愛情を注がれて造られるワインがあって、はじめて一つの深い味わいが生まれるのですね。
日本企業である、サントリーの経営参画により再興を遂げたシャトー・ラグランジュ。シャトーの再興を支えた人々と、さらなる革新の中で輝く醸造家の顔は、エネルギーに満ちていました。
素晴らしいワインと貴重なお話に酔いしれた夏の夜でした。
再生を経て新たに進むべき道を歩んでいるワインを、日本ではもちろん、ぜひ現地で飲んでみたいものですね。
セミナー会場・お料理提供
店名:神楽坂 和らく
住所:東京都新宿区筑土八幡町1-3
営業時間:11:30~15:00
17:30~23:00(L.O.22:00) ※日曜日はランチ営業のみ
電話番号:03-6280-8511
URL:http://www.kagurazaka-celux.com/waraku.html
サントリー シャトー・ラグランジュ
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