アジアのチーズはどんな作り方をしている?ヨーロッパのチーズとの違いを見てみよう

今回は主にアジアで作られる「酸・加熱凝固」製法で作られるチーズについてご紹介します。

世界の主流である「酵素凝固」製法とは?

日本でチーズというとフランスやイタリア、スペイン、イギリスなどヨーロッパを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ヨーロッパでのチーズの作り方は「レンネット」と呼ばれる酵素をミルクに加えて凝固させて作っています。

レンネットとは牛や羊などの動物の胃袋の中から取られる酵素のことで、現在は、動物性だけではなく、植物性のものも存在しています。ミルクを羊の胃袋に入れて運んでいたらチーズになっていたというチーズ発祥の話は有名ですね。レンネットをミルクに加え、固形物(カード)と液体物(ホエイ)に分けた後は、様々な加工をし、多種多様なチーズが出来上がります。

「酸・加熱凝固」製法とは

一方、今回ご紹介するアジアチーズは、主に「酸・加熱凝固」製法で作られています。ヨーロッパと同じくレンネットを使った「酵素凝固」製法のものもあります。

以前、ロシアのほぼチーズなパンケーキ(http://iewine.jp/article/2416)を紹介した際に、家で作れるカッテージチーズの作り方を紹介しました。

このようにレンネットや乳酸菌以外にも、レモンやお酢といった、酸性のものをミルクに加えて加熱すると現れる固形物(カード)を使って作るチーズも存在します。

日本やアジアのチーズ

歴史的にヨーロッパのチーズ製法が伝来していたり、ヨーロッパに修行に出て、日本でチーズを作る方も増えているので、現在の日本チーズメーカーさんの製法は、レンネットを用いた酵素凝固が主となっています。

しかし日本には、昔ながらの「酸・加熱凝固」製法によって作られる「蘇」や「醍醐」と呼ばれるチーズがあります。

これは乳酸菌をはじめとする酸の力は使わず、煮詰め続けて熱の力で固形物を作る製法です。古代のチーズなので本当に煮詰めるだけだったかは定かではありませんが、蘇をさらに熟成したものが醍醐と伝えられています。

アジアチーズとして日本でもメジャーなものといえば、インドのパニールなどが挙げられるでしょう。パニールは酸の力と加熱の力の両方をつかって作られます。

ミルクにレモンを加えて煮詰めてできる固形物(カード)をガーゼなどにいれて絞って水切りします。

インドの友人がよく家にガーゼに入ったチーズが水切りで吊るされていたと話していました。サグカレーという、ほうれん草などの緑色カレーにはパニールが欠かせませんね。

また、モンゴルのアーロールやホロートと呼ばれるチーズは、熱を加えず乳酸発酵だけで作られています。乳酸菌をいれて作るヨーグルトの一種とも言えそうですね。

原料は脱脂乳から作られることが多く、モンゴル式のお家「ゲル」の屋根の上などで、天日干して作られます。乾燥して硬くて甘酸っぱいスナック感覚なチーズです。

最後に

今回はチーズの作り方を主に「酸・加熱凝固」製法と「酵素凝固」製法に分けて紹介しました。しかし、チーズは様々な動物のミルクを使い、製法も多種多様なのでその型にはまらない面白さがあります。

チーズを食べることが好きな人は、ワイン好きな方がワイナリー巡りをするようにチーズの作り手を訪問しています。興味のある方はぜひ個人的にコンタクトをとり、チーズ教室が主催するツアーに申し込んで、実際にチーズが出来上がる過程を覗いてみてはいかがでしょうか。

岐阜出身。2013年在学中にGnR代表に就任。2015年慶応義塾大学・理工学部卒。学生時代、オランダから来たベジタリアンの留学生Miekeと出会い、彼女の実家のオーガニック牧場のチーズ輸入をスタート。

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